鹿島は9日、東京VからDF千田海人(30)を完全移籍で獲得したと発表した。背番号は4。

千田はクラブを通じて「覚悟を持って移籍してきました。クラブの目標のため、自分の成長のために、日々全力で取り組みます」とコメントした。

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 鹿島にとって、30代の選手の獲得は極めて珍しい。長期離脱中の関川郁万の穴を埋める、即戦力としての活躍が期待される。

 千田は186センチ、82キロの高さ、強さを生かした対人守備能力の高さを武器とする。J3からの叩き上げとあって、そのハングリー精神もチームにとって活力を与えることになるだろう。

 これでセンターバックの頭数はそろったことになる。関川離脱後は植田直通、キムテヒョンのコンビが盤石の強さを誇った。サイドバックでの起用も増えてきているが、成長著しいDF津久井佳祐も控えている。

 各選手のプレースタイルを鑑みると、植田&千田のコンビは考えづらいかもしれないが、それはあくまで机上の空論。トレーニングの中で鬼木達監督が千田のプレースタイルをどう評価し、どう生かそうとするのか。指揮官の起用法が注目される。

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 また、千田の加入は戦術のオプションを広げることにも繋がりそうだ。

 津久井がけが人続出のサイドバックに回る試合が多かったこともあって、関川の離脱以降、3バック(5バック)での逃げ切り策が喪失していた。序盤戦では一定の効果を生んでいた布陣だけに、“復活”も期待される。

 そうなれば、セットプレーの守備時のキーマンであるため、どれだけ疲れていても途中交代させることが難しかった鈴木優磨を下げ、前線にフレッシュな選手を入れることもできるようになる。

 ただしこれは、ベンチにCB2枚が入ると仮定した場合の話。千田の加入により、CBのスタメン争いだけでなく、ベンチ入りを懸けた競争の活性化も生まれそうだ。また、CBが4枚そろうことで、トレーニングでの紅白戦がより激しく、より厳しいものとなり、練習の質も上がることにつながる。

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 リーグ戦は残り19試合、天皇杯が最大6試合。左サイドバックを本職とするDF小川諒也の加入もあり、DF陣は勝負所の後半戦を戦い抜くだけの戦力がそろったと言えそうだ。

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