今年1月の第101回箱根駅伝で2年連続8度目の優勝を果たした青学大の原晋監督(58)が9日、日本学生対校選手権(5~8日、岡山・JFE晴れの国スタジアム)を総括し、チームのレベルアップに自信を見せた。

 1万メートルではエースで主将の黒田朝日(4年)が28分9秒18で日本人トップの3位となった。

日大のシャドラック・キップケメイ(3年)、創価大のスティーブン・ムチーニ(3年)にラストスパート勝負で敗れたが、序盤から積極的にレースを引っ張り、地元の岡山で存在感を発揮した。「黒田朝日は去年より明らかに強くなっています。4年目も順調に成長しています」と原監督は頼もしそうに話した。

 黒田朝日は2月の大阪マラソンで2時間6分5秒の日本学生新記録をマーク。原監督は「マラソンの疲労が完全に抜けるまで『放牧』しました。その大阪マラソン以来の真剣勝負のレースで、しっかりと走った。いい『放牧』になりました。強くなって戻ってきました」と笑顔で話す。次戦は日本選手権(7月4~6日、東京・国立競技場)の5000メートルを予定。「日本インカレ(学生対校)から1か月なので、ちょうどいい間隔でしょう。スピード勝負のレースでどこまで戦えるか、楽しみです」と原監督は期待を込めて話した。

 日本学生1万メートルでは安島莉玖(2年)が28分35秒06で日本人2位の4位入賞。

遠藤大成(2年)も29分13秒59で8位入賞と健闘した。

 「安島は一皮むけた。関東学生対校(2部1万メートル28分19秒81で日本人トップの4位)に続いて好走した。夏合宿で順調に練習を積んで、出雲駅伝、全日本大学駅伝で結果を残せば、箱根駅伝では往路要員になるでしょう。遠藤もよく頑張った。ラスト勝負で入賞したことは大きい。勝負強さを見せた」と指揮官は成長株の2年生を、それぞれ高く評価した。

 5000メートルではルーキーの椙山一颯(いぶき)が14分3秒06で12位。「まだ、1年生なので、練習の蓄えがない。その中で、現時点の実力を出しました」と及第点を与えた。「成果のある日本インカレになった。チーム全体がレベルアップしています」と原監督は自信を持って話す。

 今後、参加標準記録を突破している主力クラスは日本選手権5000メートル(7月4~6日)に、それ以外の選手は日体大学長距離競技会兼ニッタイダイ・チャレンジ・ゲームズ(14、15日)、絆記録挑戦会(7月2日)に出場する。「この時期はトラックレースでスピードを磨いていきます」と指揮官は強化プランの一端を明かした。

 前回の箱根駅伝4区区間賞の太田蒼生、5区区間新記録の若林宏樹、6区区間新記録の野村昭夢ら強力な世代が今春、卒業したが、今季のチームも順調に成長中。箱根路の王者は、次なるステージに向かっている。

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