俳優の渡辺謙が11日、TOKYO FM「坂本美雨のディアフレンズ」(月~木曜・前11時)にゲスト出演し、自身が出演した映画「国宝」の主題歌「Luminance」の作詞を担当したパーソナリティーの坂本美雨と初共演した。

 映画は、任侠の組長の父を抗争で亡くし、歌舞伎の世界に飛び込んだ喜久雄(吉沢亮)の壮絶な半生を描いた作品。

喜久雄を引き取る上方歌舞伎の名門の当主を演じた渡辺は、坂本が手掛けた同曲の歌詞について「これ、すごいんだよな」と興奮気味に紹介し、「舞台に上がると1人なんですよね。共演者はいるんですけど、ある部分で芝居の神様とつながっていられるのか、いられないのか。ずっと手を伸ばしている、みたいなところがすごくある。(歌詞に)『あなた』とあるけれど、それは誰でもない、お芝居の神様、言ってみればエンターテインメントの神みたいなものに、自分はつながれているのかどうか。ある種の渇望感とか喜びとか、そういうものがすごく入ってるんですよ」と絶賛した。

 完成間際の映画を見て、歌詞を書いたという坂本は「主人公の喜久雄が幸せだったらいいなと思ったんです。どこまでいっても孤独だし、ステージに上がったら誰も助けてくれないけれど、それで死んじゃったとしても悔いはないというか。でも、その神様のような存在に触れたんだとしたら、幸せだったと思う」と創作エピソードを明かした。

 また渡辺が「劇中でも『他は何もいらないから、自分の芸を磨かせてくれ。悪魔に魂を売ったんだ』って子供に説明するシーンがあるんですけど、ちょっと近いところがいつもあるんですよね。僕らにも。だからこの詞は、めちゃ僕にはやばい詞だったんですよ。

確実にそれは狙ってたんですよね」と問いかけると、坂本は「はい、そのことをずっと考えていました」とうなずき、「喜久雄のことを考えていたら、だんだん自分の父(坂本龍一さん)と重なってきて。父がたどり着きたかったところは計り知れないんですけれど、音楽の中でそれに触れたのかどうか、触れていたらいいな、満足して幸せだったらいいなって」と2年前に死去した父への思いを語った。

 「Luminance」は、King Gnuの井口理がボーカル、原摩利彦が作曲で参加している。

編集部おすすめ