
放送中のフジテレビ系連続ドラマ「波うららかに、めおと日和」(木曜・後10時)で、芳根京子(28)演じるヒロインの夫を好演している俳優の本田響矢(25)の人気が急上昇中だ。昭和11年を舞台に、交際ゼロ日婚の夫婦が初々しい新婚生活を育んでいくラブコメディーで、本田は帝国海軍中尉の「瀧昌さま」役に抜てき。
「響矢」という名前は本名。「誰かの心に矢を放って、みんなの心に響く子になってほしい、という意味で家族がつけてくれた」という。その名の通り、ドラマで演じている「瀧昌さま」との相乗効果で、本田の魅力が矢となって、視聴者の心をとらえている。
西香はち氏の同名コミックが原作の「―めおと日和」は、昭和11年を舞台に交際ゼロ日婚からスタートした新婚夫婦の甘酸っぱい時間を描いたラブコメディー。主人公・なつ美(芳根)と結婚する軍人・江端瀧昌を演じ、時には凜(りん)として、時には新妻にドギマギするかわいらしさも見せている。2人の初々しい関係性が回を増すごとに話題となり、現在Tverの登録者数は109万人を突破。ドラマの注目度も比例し、本田の存在感も急上昇中だ。
春ドラマの“時の人”に躍り出た大反響に本田は「全く想像していなかったです。本当にありがたいこと」と謙虚に語るが、実は今作がゴールデン・プライム帯の連続ドラマの初レギュラー。しかもヒロインの夫役という抜てきだ。
今回のインタビューもドラマの撮影の合間に敢行。端正な顔立ちにりりしい軍服が映える。「昭和11年だと、今の当たり前ではないこともある。たとえば冷蔵庫に氷を入れて冷やすシーンをやらせていただいたとき、そういうタイプの冷蔵庫があることを初めて知り、(日本家屋の)鴨居(かもい)の低さにも驚きました。細かいところまで自分の日常を瀧昌の日常に落とし込んでいきました」
なつ美と瀧昌の距離が近づいていく「うぶきゅん」シーンは「監督やプロデューサーさんとも話し合いながら作っています。見ている方にもドキドキしていただきたいですし『本当に、なんで…!? 瀧昌、行けよ!』って思ってもらいたい」と語る。なお、2人が平静を装いつつも心の声が漏れる場面では先に心の声を収録し、実際に流しながら演技をしているそう。「視聴者の皆さんにも(自宅セットの)空間にいていただきたい。物干しざおとかちゃぶ台になって、そこから僕らを見ているような気持ちで楽しんでもらえたら」と呼びかけた。
実直な人柄。
当初はモデルとしてキャリアをスタート。その後演技のオファーも届いたが、もともと役者業を熱望していたわけではなかったがゆえに「現実味がなくて不思議な感覚だった」という。しかし、22年のABEMA「ANIMALS―アニマルズ」の撮影に参加したことが転機に。「ひとつの役と向き合っている時間がそれまでで一番長かったんですよ。『なぜこの役はこんなせりふを言っているんだろう』と考える回数も時間もすごく増えて…。現場でアドバイスされたことも含めて、すごく演じることが楽しいと思う気持ちが増えた」と振り返る。
とことん考えて、咀嚼(そしゃく)して、吸収して、自らの表現に変えていく。多くの作品を通して、新たな自分に出会うたびに「自分の中でしっかりかみ砕いて、納得したものを表現として出したい」と考えるようになった。
「これまでも、これからも自分が納得できるまで、すべてに対して向き合い続けていきたい。自分の引き出しはしっかりと広く持っていきたいというか…。
◆本田 響矢(ほんだ・きょうや)
▼生まれと経歴 1999年6月20日、福井県生まれ。25歳。2017年にテレビ東京系「セトウツミ」でデビュー。最近の出演作に24年のNHK連続テレビ小説「虎に翼」、5月末に最終話を迎えたBS―TBS「すぱいす。」など。
▼休日の過ごし方 買い物、ゲーム、温泉。とりわけ温泉は「その土地から湧いているお湯に浸かることが好き。『ここに来なきゃ入れない!』と実感したのは有馬温泉でした」
▼挑戦してみたい役 警察官、刑事。「小さい頃から『夢は警察官』とずっと書いていました。いつか俳優として演じられたら」。小3から高校まで10年間剣道をやっており「しっかり刀を振る役はいつか挑戦してみたいですね」
▼あこがれの人 ロバート・秋山竜次。