◆プロボクシング・トリプル世界戦▽WBA、WBC世界フライ級タイトルマッチ12回戦 王者・寺地拳四朗―WBA3位リカルド・ラファエル・サンドバル ▽WBA世界バンタム級タイトルマッチ12回戦 王者アントニオ・バルガス―同級3位・比嘉大吾  ▽WBA世界ライトフライ級タイトルマッチ12回戦 王者エリック・ロサ―同級1位・高見亨介(7月30日、横浜BUNTAI)

 ボクシングの帝拳ジムは11日、トリプル世界戦を7月30日に横浜BUNTAIで行うことを発表した。世界初挑戦のWBA世界ライトフライ級1位・高見亨介は「倒して勝つ」と王座奪取を宣言。

名門・帝拳ジムの「秘密兵器」は、早くも3階級制覇に意欲を示した。元WBC世界フライ級王者で、WBA世界バンタム級3位の比嘉大吾は、極めて異例となる3試合連続での世界挑戦が実現。WBC、WBA世界フライ級王者・寺地拳四朗は、統一王座の初防衛戦に挑む。

 1か月前に買ったネイビーのスーツに身を包み、高見は壇上から宣言した。

 「世界挑戦が決まってモチベーションが上がっている。ここ一発で取りたい。KOを狙っていく」

 デビューから9戦全勝7KO。スピード、パンチ力、カウンターのタイミング。どれをとっても一級品。「ここまでプロの世界王者だけを目指してやってきた」という。小2でボクシングを始め、高校は名門・目黒日大に進学。だが、ボクシングに専念したいと通信制を選び、帝拳ジムで練習した。

インターハイ、国体で優勝、24年パリ五輪のメダル候補とまで騒がれても「オリンピックにはさほど興味がなかった」と大学の誘いを断り、プロ入りした。

 帝拳ジム・本田明彦会長は「うちの秘密兵器」という。元WBC世界スーパーライト級王者で同ジム・浜田剛史代表も「本当にセンスがある。勇敢に打っていくし、リング上で戦い方を変えられる」と注文はない。何人もの世界王者を輩出した帝拳ジムでも、ここまで実力を評価され世界へと送り出された選手は数少ない。

 ジムには高見を含め世界を狙う9人の地域チャンピオンが在籍。「自分が世界への火付け役になる」と先陣を切る。周囲からは次期スター候補を言われるが、スター性では同門の那須川天心に及ばないことは分かっている。それだけに「試合内容では負けないようにしたい」と意気込んだ。

 王者のロサは左構えのテクニシャン。中米の選手との対戦は初めてでも、不安はない。今回から米国人のオギー・サンチェス・トレーナーもチームに加わり、高見の世界取りを強力サポートする。

まだ世界のベルトを手にしていないが「複数階級で王座を取りたい。スーパーフライ級ぐらいまでは」と、早くも3階級制覇を口にする。物おじしない性格も高見の強さだ。(近藤 英一)

 ◆高見 亨介(たかみ・きょうすけ)

 ▽生まれ 2002年4月5日、東京・新宿区生まれ。23歳。

 ▽ボクシング 幼稚園の年長の時に兄が習っていたキックボクシングを一緒にはじめ、小学校2年でボクシングをスタート。中学1年の終わりから帝拳ジムで練習。22年7月にプロデビュー。

 ▽タイトル 目黒日大高でインターハイ、国体優勝。アマ戦績は43勝4敗。3年時は新型コロナウイルス感染症の影響ですべての大会が中止になる。プロでは今年4月に日本ライトフライ級王座を獲得。

プロ戦績は9戦全勝(7KO)。

 ▽度胸満点 4月の日本タイトル戦のリング上での勝利者インタビュー。マイクを持つとリングサイドの帝拳ジム・本田会長へ「会長、世界挑戦させてください」と公開直訴。そのかいもあって今回の挑戦が実現し「言ってみるもんだな」と笑う。

 ▽好きなボクサー 6階級制覇のマニー・パッキャオ(フィリピン)。小柄ながら大きな選手を倒すから。

 ▽サイズ 身長166センチの右ボクサーファイター。

 ▽家族 両親と兄、妹。

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