13日公開の映画「リライト」(松居大悟監督)に主演する池田エライザ(29)が、このほどスポーツ報知のインタビューに応じた。

 法条遥氏の同名小説が原作。

未来人の同級生との約束を果たすため10年前の自分との再会を待っていた主人公・美雪のもとに、自分は来なかった―というSFミステリーだ。池田は高校時代の美雪と、10年後に作家として大成した現在の美雪の2世代を演じた。

 「(撮影では)午前に高校生を演じて、午後は大人ということもありました。お化粧もできないし、高校生に見えるかな?という部分もありましたが、高校生のマインドは忘れていない。全神経を体に通して、100%で感じるエネルギーを表現しましたし、(ロケ地の)尾道という街の空気感にも助けられました」と振り返る。

 同作は「時」がテーマの一つ。池田を形作ってきた「時」について「書き直したい、再構築したいと思った『時』はありますか?」と尋ねると「ありますけど、でもそれはそれでいいのかな」とほほ笑んだ。「ちゃんと反抗期も中二病もあったけど、でも思い返すと全部かわいい。反抗期のとき『嫌なものは嫌だ』、大人に対して『これは違うと思う』と伝える力が身についた。一つあるならば、お母さんに『ありがとう』という気持ちは言わないと伝わらないよ、ということぐらいですね」

 役者業だけではなく、監督業、アーティスト活動など、クリエイティブな活動も多岐にわたる。創作で壁に直面した際の乗り越え方を聞くと「私は(米国のマルチクリエイター)エミネムだと思って『止まらない、湧いて湧いてどうしよう』っていうナルシシズムを錯覚させる」とおちゃめに語る。

 さまざまな表現の選択肢がある今だからこそ「逆に表現にこだわるならば何ができるだろうって考えるようになりました」と話す。

「人助けがしたいのなら、そもそもボランティアに行った方が早い。表現って遠回りすぎないかい?っていう自問自答ばっかりだったんですけど、このお仕事が『やらなきゃいけない』ことから『やりたいこと』にどこかで変わった。歌にこだわるなら、映画にこだわるなら、自分は最大限何ができる?って考えるようになってから、ちょっと面白くなってきました」

 試行錯誤の時期を越えて、20代ラストの1年。「ちょうどいま、自分の役目と、自分がやりたいエゴとのバランスが取れてきた。誰かの日常の原動力の一部になれるような説得力を持たなきゃいけない」。時を超えてもなお、人の心を震わせる表現を届けるつもりだ。(宮路 美穂)

 ◆「幸せ」猫生活

 池田はこの日、都内で映画「リライト」の公開記念前夜祭に共演のジュニア・阿達慶(19)、橋本愛(29)らと登壇。「人のすてきなところがいっぱい現場に集まってて、映像にもにじみ出ているような作品になった」と手応えを語った。

 壇上では作品にちなみ「抜け出せないもの」についてトーク。池田は「猫生活」と回答し「宣伝活動でも『アクティブになる!』って言い続けたんですが、やっぱり猫とお家でのんびり暮らすのが幸せだなということで…。抜け出せませんでした」と愛猫との暮らしを満喫している様子だった。

 ◆池田 エライザ(いけだ・えらいざ)1996年4月16日、福岡県生まれ。

2009年に「ニコラモデル・オーディション」でグランプリを受賞。11年に「高校デビュー」で映画デビューし、17年に「一礼して、キス」で映画初主演。20年の映画「夏、至るころ」で監督デビュー。21年より「ELAIZA」名義で音楽活動も本格化。24年に主演したNHK連ドラ「舟を編む~私、辞書つくります~」は国内外で高い評価を受けた。

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