◆相撲◇全道高校体育大会(14日・北ガスアリーナ札幌46)
個人戦3階級と団体戦が行われた。個人戦では、大野農・鈴木一二三(かずみ、3年)が100キロ級で3連覇、無差別級で初優勝を果たし、2冠を達成した。
大野農・鈴木が個人2冠を達成した。無差別級を制して迎えた100キロ級では、3人による総当たりのリーグ戦を無傷の連勝で勝ち抜き3連覇。「いつもより落ち着いて相撲をとれていた」と冷静に振り返った。
連覇を狙った団体戦では優勝を逃した。自身は全勝したものの、鈴木以外は1年生部員という若いチーム構成で白星をつかみきれず3位。「団体戦で勝てなかったから、個人では絶対にとってやろう」とリベンジに燃えていた。
昨年3位だった無差別級は危なげなく勝ち上がり、準決勝、決勝は「普段やらない」という、すくい投げで2戦連続勝利。中学まではガチガチの四つ相撲だったが、高校入学後に変わった。指導する布施美樹顧問は「先輩にいろんなタイプがいて、四つ相撲だけでは通用しない環境だったので突き押しも磨いた。それが今回はかなり効果があった」と成長を喜んだ。
中学卒業後に相撲を辞める予定だった。しかし、3年時に全国出場まであと1勝のところで敗れたことがきっかけで引退を“撤回”。よりレベルの高い環境を求めて地元の札幌を離れた。一山本(31)=放駒=の母校である大野農に進学後は、「一歩一歩確実に歩みを進めてほしい」という名前の由来の通り、着実に階段を上がってきた。
昨年の全国高校総体は、100キロ級で予選敗退。高校最後の全国舞台ではさらなる高みを目指しており、「今年こそは(決勝トーナメント進出の)ベスト32以上にいきたい」。「書きやすいし、お気に入り」という“一二三”の名を全国でもとどろかせる。(島山 知房)
▽団体戦 〈1〉北海道栄(3勝0敗)〈2〉函館水産(2勝1敗)〈3〉大野農(1勝2敗)
▽無差別級 〈1〉鈴木一二三(大野農)〈2〉大場琉矢(北海道栄)〈3〉斎藤偉央莉(北海道栄)
▽100キロ級 〈1〉鈴木一二三(大野農)〈2〉浜野涼(大野農)〈3〉高橋航(北海道栄)
▽80キロ級 〈1〉藤本元気(大野農)〈2〉大場太陽(北海道栄)〈3〉小林史弥(小樽水産)
〇…大野農・藤本が上級生を押しのけて初の全国切符を手にした。決勝進出を目標にしていた無差別級では、2回戦敗退。試合直後は悔し涙を流した。「先生方が、気を取り直してリベンジするぞと言ってくれた。まだできることはある。
〇…北海道栄が“助っ人”とともに王座を奪還した。正規部員は大場琉矢(3年)のみで、残りの登録メンバー5人は柔道部員。柔道の練習と並行し、大場の指導で相撲の技術も磨き、リーグ戦では無傷の3連勝を果たした。20年創部の相撲部は、大場が引退後に活動休止となる見込み。北海道栄として臨む最後の全国高校総体になる可能性もあり、大場は「勝ってくれた柔道部の選手に感謝して、精いっぱい頑張りたい」と力を込めた。