◆第66回宝塚記念・G1(6月15日、阪神・芝2200メートル、稍重)
春のグランプリ、第66回宝塚記念・G1は15日、阪神競馬場で行われ、7番人気のメイショウタバルが逃げ切ってG1初制覇を飾った。武豊騎手=栗東・フリー=はディープインパクトで制した06年以来、19年ぶりとなる5勝目。
全く動じることなく、堂々と受け止めた。4コーナー手前。先頭を走る武豊とメイショウタバルは、外から仕掛け気味に詰め寄るベラジオオペラの圧力を感じながらも冷静だった。「3コーナーの入りがすごく良くて、そこで一瞬リラックスできたのが大きかった」
馬場を稍重まで回復させた蒸し暑い空気を切り裂くようにグッと加速。直線では徐々に後続の蹄音が小さくなったが、武豊はこん身の力で追い続けた。「何とか押し切ってくれ」。最後まで左ステッキを入れ、両腕で必死に手綱を押す。3馬身差の圧勝で導いたG1初勝利。ゴール板を過ぎた瞬間、ディープインパクト以来19年ぶりに味わう歓喜に、笑顔で高々と左手を上げた。
大歓声の中で引き揚げた検量室前。幼少期から親交の深い石橋調教師が満面の笑みで出迎えてくれた。松本好雄オーナーもやって来た。「涙が出そうなくらいうれしかった。人がつないでくれた馬の縁、馬がつないでくれた人の縁を感じる勝利は格別でした」。今年の日経新春杯(11着)では1000メートル通過57秒7とハイペースを刻んだ相棒が、この日は59秒1と絶妙なペース。巧みな手綱さばきで折り合わせ、レース史上最多勝と最年長勝利記録を更新する5勝目で、最年少勝利記録も持つ春のグランプリ。レジェンドが勝てば、そこに記録が生まれる。
石橋師にとって、メイショウタバルは騎手時代に最後の勝利だったメイショウツバクロの子供。縁のある血脈で開業12年目にして、初のG1タイトルをつかんだ。「涙が出ましたね。騎手時代からお世話になっている松本オーナーに少しは恩返しできたかな」と笑った。
メイショウタバル 父ゴールドシップ、母メイショウツバクロ(父フレンチデピュティ)。栗東・石橋守厩舎所属の牡4歳。北海道浦河町・三嶋牧場の生産。通算成績は11戦5勝(うち海外1戦0勝)。総獲得賞金は4億4164万6600円(うち海外2355万3600円)。主な勝ち鞍は毎日杯・G3、神戸新聞杯・G2(ともに24年)。馬主は松本好雄氏。