大相撲の名古屋場所(7月13日初日)へ向けて新横綱・大の里(25)=二所ノ関=が16日、茨城・阿見町にある部屋で稽古を行った。名古屋場所は暑さもあって年6場所で最も苦手とするが、今年から会場が「IGアリーナ」に変更。
噴き出す汗をぬぐいながら、じっくりと稽古場を踏みしめた。大の里は約80人のファンの視線を集めながら四股、すり足、てっぽうを丁寧にこなした。約1時間20分の稽古を終え「基礎基本を中心にしっかりできた」とうなずいた。横綱昇進伝達式から19日がたったが、「番付は変わったけれど、やるべきことは変わらない。稽古も私生活も変わらない」と泰然自若を貫いた。
相撲を取る稽古は、この日は行わなかったが、先週からすでに再開。「普通にやれている。限られた時間でしっかり準備して名古屋へ入ったらギアを上げたい」と力を込めた。稽古後には、写真撮影やサインなど、笑顔でファンサービスに応じた。
21年秋場所の照ノ富士以来、10人目の新横綱Vを目指す名古屋場所は、全場所で最も苦手だ。幕下だった一昨年は七番相撲で辛くも勝ち越し(4勝3敗)。関脇だった昨年は「暑いのは好きではない」と明かし、大関昇進の期待がかかる中、初日から連敗。序盤につまずき9勝6敗。「名古屋は暑いですし、体調管理もしっかりとやっていく」と過去の反省を生かす覚悟だ。
“追い風”がある。今年の名古屋場所から、昨年まで59回開催されたドルフィンズアリーナ(愛知県体育館)からIGアリーナに変更。12月にはフィギュアスケートの国際大会も開かれる国内最大級のアリーナだ。1964年開館で、汗が止まらなかった力士もいた前会場とは違い、空調設備は最新だ。名古屋場所が同会場のこけら落とし行事でもあり、大の里も以前から「楽しみ」と意気込む。
29日に故郷の石川・津幡町での新横綱昇進を祝うパレードが予定され、石川県の県民栄誉賞の授与式も行われる。「たくさんの声援と力を頂いて、名古屋でいい結果を出せるようにしたい」と大の里。