近年は若手の活躍が目立つ函館開催。23年は18勝を挙げた佐々木大輔騎手がリーディングを獲得し、22年の年間9勝から最終的には68勝まで白星を積み上げ、一気にブレイク。
「1週目に勝ちたいと思っていました。ホッとしたというよりは純粋にうれしかったです」。3月1日にデビューした舟山は、翌週の3月8日に自厩舎のレーヴブリリアントで初勝利。4月13日に2勝目を挙げたが、それ以降は2か月間、勝利から遠ざかっていた。「今まではゲートを出てもリズムを重視して、控える考えになって積極性がない競馬が多かった。もう一列前を取れていれば、というように勝てたレースを落としてきた」と自己分析。小回りの函館だからこそ、どの騎手も先行する意識は強く、前の位置を取りに行くことやスタートの必要性を実感。函館での経験が「今後も絶対に生きてくる」と確信した初週となった。
周りの環境を原動力にしようとしている。今回の函館には同期の上里直汰騎手、森田誠也騎手、和田陽希騎手も滞在。「一緒にサウナに行ったりしてリフレッシュはできるけど、競馬としては減量のライバル。同期はシビアに比べられると思う」と、いい関係でお互いに切磋琢磨(せっさたくま)。また、普段から相談に乗ってもらう佐々木大輔騎手を通じて、藤岡佑介騎手や小沢大仁騎手といった関西の先輩騎手にも積極的にアドバイスをもらっている。「競馬場でもパトロールを一緒に見ていただくし、藤岡佑介さんは1から10までわかりやすく教えてくれて、いい刺激を受けています」と充実した日々を送る。
田中博康調教師の期待に応えたい思いも強い。デビューから毎週、かかすことなく、レース騎乗時の“GOOD”、“BAD”、“NEXT”を振り返り、指揮官にフィードバックをもらっている。「競馬にひたむきになって、競馬漬けの毎日にするくらいじゃないとやってけない」と出発前に投げかけられた指揮官の言葉を肝に銘じて、競馬と向き合っている。近い将来には田中博康厩舎の主戦ジョッキーになれるように―。「レースだけじゃなく、調教からもまだまだ馬に乗りたいです」。言葉に力を込めた18歳は、純粋にもっと馬乗りがうまくなりたいという気持ちであふれている。