◆プロボクシング▽IBF世界ライトフライ級(48・9キロ以下)王座決定戦12回戦 ○同級2位他タノンサック・シムシー(判 定)同級1位クリスチャン・アラネタ●(19日、大田区総合体育館)

 グリーンツダジムとプロモート契約を結ぶIBF世界ライトフライ級2位タノンサック・シムシー(25)=タイ=が初の王座獲得に成功した。空位の王座をIBF世界同級1位クリスチャン・アラネタ(30)=フィリピン=と争い、3回に左ストレートでダウンするピンチも、終始手数で上回り2―1の判定でベルトを獲得した。

 採点が読み上げられた瞬間、タノンサックは感極まり大粒の涙を流した。セコンドに肩車され、リングを一周。世界戦を組んでくれた本石昌也会長に感謝、そして「家族のために勝つことができた」と2日前に死去した祖母に勝利をささげた。

 タイ・シーサケットで農業を営む両親のもと、5人兄弟の次男として誕生した。家族7人で1か月1万円で生活するという貧しい環境で育った。「家族を幸せにしたい」と14歳でムエタイを始め、18歳からはボクシングに転向した。2019年にグリーンツダジムと契約し、翌年11月にはWBA世界ライトフライ級スーパー王者・京口紘人(ワタナベ)への挑戦が決まり、前日計量を終えた後に京口の新型コロナウイルス感染が判明し、中止に。チャンスはなかなか訪れず、昨年12月に元世界王者の谷口将隆(ワタナベ)を破り、5年待ち続けて王座決定戦出場への権利を手にした。

 グリーンツダ・本石会長は4代目の会長に就任して11年目。自身が会長となって、初の世界王者誕生となり「気持ちが高ぶって言葉にできないうれしさがある」と喜びを爆発された。

 戦績はタノンサックが39勝(34ko)1敗、アラネタは25勝(20KO)3敗。

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