◆プロボクシング ▽WBO世界ウエルター級(66・6キロ以下)タイトルマッチ12回戦 王者・ブライアン・ノーマン―同級2位・佐々木尽(6月19日、大田区総合体育館) 

 プロボクシング日本人初の世界ウエルター級王者誕生はならなかった。19日、大田区総合体育館でWBO世界ウエルター級王者ブライアン・ノーマン(米国)に挑戦した同級2位・佐々木尽(八王子中屋)は、初回に2度のダウンを奪われ5回46秒KO負け。

元WBC世界バンタム級王者で本紙評論家の山中慎介氏は、アジアNO1の佐々木とノーマンの差を痛感し、ウエルター級の壁の厚さを語った。

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 これだけ差があるとは。ノーマンの落ち着き、冷静さが際立っていた。佐々木はウエルター級でアジアNO1の称号を手にリングに立ったが、世界との差を痛感させられた。

 日本は現在、世界的に見ても軽量級王国だ。井上尚弥(大橋)が4つのベルトを持つスーパーバンタム級(55・3キロ以下)から軽い階級では多くのチャンピオンが出ている。しかし全世界的に目を向けると、ライト級(61・2キロ以下)からミドル級(72・5キロ以下)ぐらいまでが一番ボクサーの数が多い。米国が中心となり、中南米も多く身体能力に優れている選手が多い。世界的なレジェンドボクサーが多く誕生するのもこれらの階級からだ。そしてライト級以上の日本人世界王者が極端に少ないのも事実だ。

 佐々木はアジアでは圧倒的なスピードと一発で相手を倒せるパンチ力を誇ってきた。だからこそ、多くの人が日本人初のウエルター級世界王者誕生を期待したはずだ。

しかし、リング上でチャンピオンと対峙(たいじ)した姿を見て、それがノーマンを上回っていると感じることはできなかった。この1敗は単なる世界戦の黒星ではなく、日本ボクシング界に大きな宿題を与えるものとなった。(元WBC世界バンタム級王者)

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