陸上の競歩日本代表が28日、東京・北区の味の素ナショナルトレーニングセンターで行われている研修合宿を公開。暑熱対策と歩型をテーマにした合宿で、淡々と練習をこなした男子20キロ競歩の世界記録保持者・山西利和(愛知製鋼)は、「じっくり距離を踏んでいる状態なので、久しぶりに速めのペースで、それなりのボリュームで歩いた」とさわやかに汗をぬぐった。
山西は19年ドーハ世界陸上、22年オレゴン世界陸上で金メダルを獲得した実力者。ただ、3連覇を狙った23年ブダペスト世界陸上はまさかの24位に沈み、昨年のパリ五輪は出場も逃した。それでも、自身と向き合いながら地道に鍛練を重ね、苦手だった厚底シューズにも対応。今年2月、東京世界陸上の代表選考を兼ねた日本選手権(神戸)を1時間16分10秒の世界新記録で4大会ぶりに制し、世界陸上の内定も勝ち取った。
京大出身の“秀才ウォーカー”は、海外トップ選手からも学びを得る。近年は21年東京五輪金メダリストのマッシモ・スタノ(イタリア)と練習を共にすることもあり、「スタノとやれることは大きい。横にいる人間を見て比較するっていうことが、最も気づきが得られて学びがある瞬間。比較できる相手がいることは、すごくありがたいなって思います」とうなずく。王者に君臨してきたからこそ「直近の数年間はそこが少し足りなかったんだろうなって感じます。(元世界記録保持者の)鈴木雄介さんを追いかけていた頃の感じの比較感。何が足りないんだろうなとか、この人と何が違うんだろうなって」と改めて、競技と真正面から向き合い、さらなる成長を遂げている。
リベンジマッチとなる東京世界陸上(9月)だが「そこへ向かう過程。