◇全国男鹿駅伝(28日、秋田・男鹿市男鹿総合運動公園発着)
高校男子の部(7区間42・195キロ)は、昨年12月の全国高校駅伝優勝の佐久長聖、同3位の宮城・仙台育英、同5位の福島・学法石川、同9位の京都・洛南などの全国の強豪校が出場する中で、同2位の福岡・大牟田から多くの選手が集団転校し、今大会にはオープン参加となった鳥取城北が2時間6分51秒でトップでゴールした。優勝は2時間7分57秒で洛南、2位は2時間8分11秒で佐久長聖、3位は2時間9分4秒で仙台育英だった。
鳥取城北は1区(9・5キロ)にエースの本田桜二郎(3年)、7区(9・3キロ)に準エースの村上遵世(3年)を起用するなどベストメンバーで参戦。本田が1区で後続に13秒差をつける区間賞相当の好走でトップをたすきをつないだ。その後、2区でトップを譲ったが、アンカーの村上が区間賞相当の力走で再度、トップに浮上。洛南に1分以上の大差をつけて、事実上の「優勝」を果たした。
昨年の全国高校男子駅伝で大牟田は準優勝しながら指導者の交代を決めた学校側に反対して18人が今春、鳥取城北へ集団転校した。転校後、6か月(水泳は1年)は同連盟の主催大会に出場できない全国高校体育連盟の規定に準じて、男鹿駅伝もオープン参加となった。大牟田から鳥取城北へ移った赤池健監督は「我々は現時点のベストメンバーを組みましたが、ほかの高校さんは全国高校総体に向けてベストメンバーを組んでいません。それでも、トップでゴールできたことは良かったと思います」と冷静にレースを振り返った。
大牟田から転校した主将の宗像琢馬(3年)と元々、鳥取城北の主将と務めていた早田慶哉(3年)が「ダブルキャプテン」体制でチームを率いている。この日、出場した7人のうち、本田、村上ら6人が大牟田から転校した選手。3区の山根爽楽(3年)は元々、鳥取城北に在籍していた選手で区間6位相当と踏ん張った。6区で区間賞相当と力走した宗像は「鳥取の皆さんのお陰で学校生活や練習環境にも慣れてきました。
秋からの駅伝シーズンには、転校した選手たちも正式に出場できる。昨年12月の全国高校駅伝ではエース区間の1区(10キロ)で29分12秒で区間2位と好走し、チームの2位に貢献したエース本田は「全国高校総体がないからと言って緊張感がなくならないように集中力を持って練習しています。今年は鳥取高校駅伝でも、全国高校駅伝でも1区で区間賞を目指します。仲間がいるから頑張れます」と意欲を示している。
環境が変わり、全国高校総体に出場できないという制限がある中でも、18人の選手は鳥取城北へ転校した。それから約3か月。自ら考え抜いた上で決断した高校生ランナーたちは、心身ともに成長を続けている。鳥取城北が今季の高校駅伝の「主役候補」であることを男鹿半島で改めて証明した。
大学男子の部(7区間64・8キロ)は青学大がスタートからゴールまでトップを走り続け、3時間14分28秒で完全優勝した。起伏が激しいコースを走り「仮想・箱根駅伝」と呼ばれる男鹿駅伝で、箱根路の王者が強さを見せつけた。
◇大牟田から鳥取城北へ集団転校の経緯 関係者の話を総合すると、昨年11月の福岡県高校駅伝に優勝し、2年連続45回目の全国高校駅伝出場を決めた後、学校側は25年度から磯松大輔監督を招へいし、実質的な監督だった赤池健ヘッドコーチ(HC)をサポート役に降格する方針を決定。