第107回全国高校野球選手権南北北海道大会の組み合わせ抽選会が3日、行われた。6年ぶりの夏の甲子園出場を目指す北照は、沖縄出身の屋富祖(やふそ)駿汰主将(3年)がチームを束ね、南北海道の頂点に導く。
類いまれな統率力で、屋富祖が北照を2019年以来の聖地に導く。小樽・龍宮神社を参拝した後に抽選会に臨み、引いた番号は大会3日目第1試合の13番。初戦の相手が16年ぶり出場の函館大谷に決まり「どこが相手でも勝つだけ。一戦一戦勝ち抜いて、上林先生(監督)を胴上げできるようにやっていきたい」と意気込んだ。
沖縄県北谷(ちゃたん)町出身で、自衛官の父の仕事の都合で小学校入学前に千葉県に引っ越した。中学卒業までは同県で過ごしていたが「(北照野球部の)ドキュメンタリー映像を見て上林先生の人柄を知って、先生の下で野球をやりたいと思った」。親元を離れ、沖縄在住時には「想像もしていなかった」という北の大地でプレーすることを決断した。
レギュラー選手が主将を務めるのが一般的だが、屋富祖の背番号は「20」。17年から指揮を執る上林弘樹監督(45)は、就任後初めて控え選手に主将を任せた。昨夏、スタンドで必死に応援する姿に感銘を受けた指揮官は「本当に人柄。『ポジション屋富祖』と言ってます。能力的には(主将を)できる子もいると思うけど、それ以上に今の学年をまとめるには屋富祖みたいな存在が必要だった」と人間性を絶賛する。
昨秋から右肩を負傷している影響もあり、ノックやフリー打撃に入ることはない。全体練習の大半の時間は、ダイヤモンドの外から大声でチームメートを鼓舞し続けてきた。「練習に入れなくて辛い時期もあったけど、甲子園に行ければそれでいい。支えてくれた方々を笑顔にしたい」。試合では三塁コーチャーを務め、ここ一番での“ピンチバンター”での起用が見込まれる。苦しいときは故郷・沖縄の空や親族の顔を思い出して心を落ち着かせ、自らの役割を全うしていく。(島山 知房)
〇…北星学園大付の若松七聖主将(3年)が選手宣誓を務める。出場16校の主将が参加したくじ引きでは「引きたかったです」と、狙い通り1番のカードを引き当てて笑みを浮かべた。札幌札苗北中時代に出場した全国中学軟式野球大会に続く大役。「もう一度あの緊張感を味わえるので頑張りたい。16校だけじゃなくて、支部で負けたチームの分も背負っていい宣誓をしたい」と腕をまくった。
〇…春の全道王者・北海は、初戦で昨夏準Vの立命館慶祥と激突する。
〇…札幌日大は同校史上初の2連覇を目指し、初戦で北海道栄と対戦する。投打の大黒柱でU18日本代表候補の窪田洋祐投手(3年)が左手首負傷から完全復活し、地区代表決定戦は5回コールド勝ち。危なげなく南大会に駒を進めた。準決勝、決勝がエスコン開催になった23年以降、唯一2年連続で4強入り。今夏も優勝候補だが、帯川拳誓主将(3年)は「“一戦決勝”でやるべきことを徹底して、最終的には甲子園につなげたい」と気を引き締めた。