◆プレミアリーグ第1節(開幕戦)リバプール4-2ボーンマス(8月15日、英国・リバプール・アンフィールド)
2025年8月15日、英国ではプレミアリーグの第1節が1試合行われ、日本代表主将遠藤航(32)が所属するリバプールはホームでボーンマスと対戦。スロット監督は新加入のMFビルツ、FWエキチケ、DFフリンポン、DFケルケズの4人を先発起用し、新時代の到来を告げた。
キックオフ直前、7月3日に交通事故で死亡したポルトガル代表MFディオゴ・ジョッタに1分間の黙祷が捧げられた。永久欠番になったジョッタの20番にちなみ、前半20分にはスタンドを埋めたリバプール・サポーターが声を張り上げ、亡きポルトガル代表MFのチャントを盛大に歌った。
アンフィールドが一体となって、悲劇を乗り越えようとしていた。試合後スロット監督が「本当にパワフルだった」とサポーターの歌声を讃えた。
そんな声援が敵味方合わせて6ゴールを呼び込んだ。先制はリバプール。前半37分、新加入のエキチケがマック・アリスターの縦パスに見事に反応。ゴール前に躍り出て、冷静に右足を振って今季の初ゴールを奪った。
さらには後半開始直後の4分にガクポが追加点を奪った。先制点を奪ったエキチケがアシストして2-0。遠藤が新加入のフリンポンの代わりに右SBに入ったのはこの11分後の後半15分。
ところがこの後、後半19分、31分にボーンマスのセメンヨがカウンターから立て続けに2点を奪い、悪夢のような同点劇が生まれた。
遠藤は「試合展開がオープンになっていた。ちょっとしたボールの失い方の悪さで相手のカウンターを受ける形になった」と試合を振り返った。ジョッタの弔い合戦となって大量点を狙い、少し前がかりになったように見えた。
しかし日本代表主将は「相手もインテンシティの高いチームだという分析だった。0-2となった状況でも前に前に出てきた。そこは最後まで諦めずにやってきたことで、こういうゲーム展開になったと思う」と話してボーンマスをほめた。
ところがここで終わらないのがチャンピオン。試合終了間際の後半43分にこの2分前にビルツに代わって出場したキエーザが3点目の勝ち越し弾を右足のボレーで叩き込んだ。しかもアディショナルタイム4分にエース・サラーがダメ押しの4点目を奪った。このゴールは相手DFラインの裏にボールを蹴り込んだ遠藤にアシストがついた。
「あれでアシストがつくのはありがたい」と日本代表主将。さらには「サラーの個人技がすごかった。ああいうプレーを狙っているのが彼の良さ。単純に裏に蹴って結果が出た」と話して昨季のプレミア得点王を讃えたが、「ただあの時間帯で裏に蹴られるのは相手も嫌だと思う。これからもそういうプレーの判断はしっかりやっていきたい」と続けて、遠藤自身も加点を意識したプレーだったことを明かした。
この4点目を決めたエジプト代表FWが試合が終わってもジョッタのチャントを歌い続けるサポーターの前で一人残って拍手をし続けた。するとその瞳にうっすらと涙を浮かべて、顔をぬぐった。
ジョッタの悲劇からわずか6週間。リバプールの2連覇をかけた戦いは凄まじい4-2勝利で幕を開けた。