プロボクシング元世界4階級王者で、前WBO世界スーパーフライ級王者・田中恒成(30)=畑中=が16日、名古屋市内で開催された畑中ジム興行で、引退式を行った。

 スーツ姿でリングに入場。

「3歳から空手、11歳からボクシング、29歳まで26年間を格闘技に打ち込んだ。これまで満足したことは一度もない。もっと速くもっと強くと自分自身の可能性を心から信じていた。ボクシングを通して、人生であったり、夢であったり、人間関係、お金のことも学んだ。ボクシングに感謝しているし、出会った人を大切にしたい」とあいさつした。後進ボクサーたちへ向けては「私は世界チャンピオンになったが、手の届かない存在ではない。一歩一歩階段を上り、次の道を進む。皆さんと世界チャンピオンへの道は続いている」とエール。11年間のプロ生活を終え、惜別のテンカウントゴングを聞いた。

 田中は昨年2月、WBO世界スーパーフライ級王座決定戦に勝利し、史上最速の21戦目で、井岡一翔(志成)と井上尚弥(大橋)に次ぐ日本人3人目の世界4階級制覇を達成。同10月の初防衛戦でプメレレ・カフ(南アフリカ)に判定負けして陥落。右目網膜はくりのため、6月に引退を発表した。

 今後は、11月にも地元の岐阜・多治見市内に自身がオーナー、父・斉(ひとし)さんが会長兼トレーナーを務めるボクシングジムを開設予定。「強い選手というよりは、心の強い子を育てたい」と現在のところは、プロ加盟の意思がないという。歴戦の4階級王者が第2の人生をスタートさせた。

 ◆田中恒成(たなか・こうせい)1995年6月15日、岐阜・多治見市生まれ。30歳。中京高で全国4冠。2013年、プロデビュー。15年、国内最速5戦目でWBO世界ミニマム級王座獲得。16年、同ライトフライ級王座獲得。18年、同フライ級王座奪取で世界最速タイ12戦目の3階級制覇。20年、同スーパーフライ級王座に挑んだ井岡一翔戦でプロ初黒星。24年2月、同王座決定戦を制し、世界最速21戦目で4階級制覇。

身長165センチの右ボクサーファイター。プロ20勝(11KO)2敗。父・斉さんはトレーナー、アマボクサーの兄・亮明さんは東京五輪銅メダリスト。

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