企業の会議にギャルを送り込み、新たな観点からビジネスパーソンに気づきを提案する「ギャル式ブレスト」事業を展開する「CGOドットコム」総長のバブリーさん(29)がこのほど、スポーツ報知のインタビューに応じた。高校時代に不登校となったバブリーさんは家出先の大阪で出会ったギャルカルチャーに触れたことをきっかけに、ギャルの魅力を伝えるべく起業。
自分らしく生きるとはどういうことか。エンターテインメントやスポーツ、仕事を通じて自分らしさを獲得する人もいるだろうし、他者と向き合うことで自分を知るということもあるだろう。一番自分らしいときはいつ、どんな自分なのか。
ギャルと企業をつなぐ「ギャル式ブレスト」事業で次世代の起業家として注目されているバブリーさんが見つけた「自分らしさ」は、16歳のときに家出先で出会ったギャルの世界だった。もともとは真面目な家庭で育った超優等生。中学校まで何の疑いも持たずに勉強し、県内有数の進学校に入学したが、すぐに違和感を抱いたという。
「入学初日に先生から『お前らは全員東大に行け』と言われたんです。なぜ大学に行くんだろう、そもそもなんで勉強しているんだっけ?と思ってからは学校に行く意味も分からなくなって…」。高1の夏から不登校となり、通っていた高校も中退。知人を頼って大阪に家出した際に出会ったのがギャル集団の仲間たちだった。
「その子たちは本当にかわいくて、話してみても自分を持っている。
ギャルマインドに救われたからこそ、自分がギャルに還元できることは何か。「周りのギャルを見たら、誰も大学に進まなかった。親が水商売をやっているからそのまま水商売みたいなケースが多くて。以前は当たり前に大学に進むと思っていたけど、その機会すら与えられない子がいることを恥ずかしながら初めて知った」。通信制の高校を卒業し、一度入った大学もやめ、21歳で立大へ。在学中の2020年にCGOドットコムを立ち上げた。
「19年の冬、セシルマクビー(渋谷109でカリスマ的人気を誇ったアパレルブランド)の『ギャルは絶滅した』『我々は方向転換します』という記事が出たんです。私の中でギャルは絶滅していない。ファッションが衰退してもマインドは絶対残り続けるっしょ?という憤りを感じて『ギャルはすごい。
ビジネスとしての成功など考えず、勢いで生んだ事業が「ギャル式ブレスト」だった。ブレインストーミング(ブレスト)は参加者が自由にアイデアを出して意見交換することで新しい発想を生み出す方法。現在もCGOのメイン事業である「ギャル式ブレスト」は、ビジネスパーソンの研修や会議にギャルが入り、起爆剤として気づきをもたらす。
「知り合いに湘南の元ギャルの会社員がいて『今は上司にも部下にも気を遣い、全然ギャルじゃない』ということを聞いたんです。こういう人が社会にいるんだったら変えられるんじゃないかなという気づきがあって…」。22年には法人化。新たな着眼点が令和のビジネスシーンにおいて受け入れられ始めている。
バブリーさんのモットーは「ただでは転ばない」。退学経験も、不登校も家出もすべて自分の血肉に変えて、ギャルのみならず社会の未来を支えている。
ギャル式ブレストの特徴のひとつは、年齢や性別、肩書などを度外視したフランクなコミュニケーション。ギャルのファシリテーターが会議を進行し「プロフィール帳を書いて自己分析して、次に自分の会社の好きなところをポストイットに書いてもらう。自分の『好き』と企業の『好き』を掛け合わせながらブレストをしていって、未来にこんなことができたら面白いという最終的なアイデアを書いてもらって発表する、という流れです」。
バブリーさんが思うギャルマインドの柱は「自分軸」「直感性」「ポジティブ思考」の3つだという。「会社にいると『どこどこ部の誰』っていう肩書の通りに振る舞わなきゃいけない。上に稟議を通すときとか、数字ベースで話してしまうことが多いけど、たまには『自分がワクワクしているからやりたい』という提案をしてもいいと思うし、その提案を受け手側もポジティブに捉えていく力があると、本当は日本の企業ってもっとイノベーションが起こるんじゃないかと思います」
ギャル式ブレストは、企業側だけでなくギャル側にもいい効果をもたらした。「サラリーマンとしゃべったことで社会とつながる面白さを見つけたり、夜職をやっていた子が昼の仕事に就いてみたり…。ギャルって見た目は華やかだけど、中身の部分がこれまで評価されてこなかった。でも空気を作るのが圧倒的に上手で、他人同士のやりとりを『We』にする力がある。自分の世界もいいけど、相手の世界もいいじゃん?みたいな。彼女たちのような、社会に埋もれている才能をどんどん発掘していって、ブレスト以外にも経済が回るような仕組みを作っていきたいですね」
互いのコミュニティーを尊重し合える社会。個人のマインドや好きなこと、夢をオープンにして重ね合わせることで、見たことのない世界が生まれるような気がする。ギャルのフィルターを通して映るビジネスの世界には、まだまだ面白いことが眠っているはずだ。
夏休み明けは若年者の自殺者が一年で最も多いと言われる。
◆バブリー 1996年5月8日、山梨県生まれ。29歳。本名は竹野理香子(たけの・りかこ)。大学在学中の2020年に「ギャル式ブレスト」事業を立ち上げ、2022年に合同会社CGOドットコムを設立。Forbes Japan「世界を救う希望100人」などに選出。