【オークランド近郊(米国)2日=金川誉】日本代表MF久保建英(24)が、21年東京五輪の3位決定戦で敗れ、国際Aマッチでは4連敗中のメキシコに対し「僕たちの方が勝つ可能性が高い」と自信をみなぎらせた。FIFAランキングでも17位の日本を上回る13位の格上を“踏み台”に、北中米W杯の優勝という目標へと勢いをつける。
大言壮語ではなく、自らにプレッシャーをかけるような言葉だった。西海岸の日差しの下での練習を終えた久保は、メキシコ戦について「オッズで言ったら、多分僕たちの方が勝つ可能性が高いと思うので。現在地的には。別に傲慢(ごうまん)とか、確信してるわけじゃないんですけど、そういう相手だと思うので。しっかり勝って終わりたい」と言い切った。
確かに22年カタールW杯では日本がドイツ、スペインを破って16強入りしたのに対し、メキシコは1次リーグ敗退した。しかし、東京五輪では煮え湯を飲まされた相手ではある。久保は3位決定戦で1―3と敗れ、号泣した当時を振り返り「1位以外はビリみたいな感覚でずっとやってきた僕が、3位(決定戦)で負けたことで感情を入れてしまうというのは珍しかった」と自己分析。それでも勝利を疑わない理由がある。
「(W杯で)優勝したいって言うんだったら、このレベルの相手に自分たちのやりたいことができなかったら、優勝できないんじゃないですか」。メキシコは開催国枠として、抽選会でポット1(第1シード)入りするが、FIFAランク10位内や優勝経験国などと比較すれば力は落ちる。
14~15年に日本代表監督を務め、現在メキシコ代表を率いるアギーレ監督(66)は、かつて21―22年にマジョルカで共闘した指揮官。しかし十分な出場機会を与えられず「正直あんまりいい思い出はないんで。個人的にリベンジしたいとかはないですけど、いい選手になったよ、って見せられたら」と話した久保。因縁渦巻くメキシコをライバルと捉えていては、目標になど届かない―。そんな思いを胸に、久保はW杯開催国との重要なテストマッチに挑む。(金川 誉)
◇久保に聞く
―敗れた21年東京五輪のメキシコ戦について。
「もうちょっとなんかできたんじゃないかなって。個人だけじゃなく、チーム含めてありますけど、でもやっぱり(準決勝で)スペインに負けてしまって、そこで燃え尽きたみたいなのもあったのかな」
―アギーレ監督はどんな指導者か?
「規律とか厳しくて。(日本人に)合っているんじゃないですか」
―メキシコは球際の強さが特徴。(ボールの)失い方に気を使うか。
「変に失わないようには気を付けたいですけど、でも失ったところで(守備の)帰陣も僕らの方が早いと思う。
◆久保の過去のメキシコ戦
▼20年11月17日 オーストラリアでの親善試合で対戦。代表11試合目で初得点を狙った久保は2点を追う後半27分から左MFで出場。同39分に左サイドでのドリブルで1人かわす場面はあったが無得点。試合は0―2と完敗に終わった。
▼21年7月25日 東京五輪の1次L第2戦で対戦し、先発フル出場。初戦の南アフリカ戦での得点に続き、この試合でも前半6分、堂安のパスに左足で合わせて先制点。試合は2―1で勝利した。
▼同8月6日 東京五輪3位決定戦で再戦。タフなメキシコに3点を奪われ、1―3と完敗。1次Lでは勝利した相手に敗れ、日本として53年ぶりのメダルを逃し「今までサッカーをやってきてこんなに悔しいことはない」と号泣した。
◆メキシコ代表 CONCACAF(北中米カリブ海サッカー連盟)の王者を決める25年7月のゴールド杯では決勝で米国を破り、10度目の優勝を果たした中米の雄。主力は同大会で最優秀選手に輝いたMFエドソン・アルバレス(フェネルバフチェ)、昨季までオランダ1部フェイエノールトでFW上田とチームメートだったACミランFWサンティアゴ・ヒメネスら。