【オークランド近郊(米カリフォルニア州)3日(日本時間4日)=金川誉】日本代表は米国遠征のメキシコ代表戦(6日)に向け、冒頭15分のみを報道陣に公開し、その後は非公開で戦術練習を行った。別メニューで調整していたMF三笘薫(28)が完全合流。

アジア以外と約2年ぶりの一戦へ、「戦術的なところしっかりと遂行できるようにしたい」と語った。W杯の16強常連国と戦う上で、三笘が求めるテーマを、担当の金川誉記者が「読み解く」。

 三笘らが全体練習に合流し、いよいよ本番モードのスイッチが入った。森保一監督は合宿3日目から練習を非公開に切り替え、全米屈指の名門・カリフォルニア大バークレー校の施設内で約2時間、メキシコ戦への準備に費やした。三笘は「チームのやりたいことにどれだけ貢献できるか。戦術的なところをしっかりと遂行できるようにしたい」と意気込んだ。

 アジア最終予選では7勝(2分け1敗)と圧倒的な強さでW杯切符を手にした。ただ、森保ジャパンにとっては通過点に過ぎず、W杯で主導権を握るサッカーを求めていく。過去のW杯ではアジアの“強者”から“弱者”の戦いへの変化を強いられ、16強に進出した2022年カタールW杯では4試合を戦い、1試合平均のボール保持率は29・75%だった。その課題を克服すべく、三笘ら攻撃的な選手をウイングバックに置く3バックを基本布陣に、試合の中で状況によって攻撃的にも守備的にもシフトする準備を進めてきた。

 三笘は今回、ボール保持率でも上回って試合の主導権を握ることをテーマに挙げ、「メキシコはクオリティーが高い選手が多い。アジアのようにボールを持てるかはわからないが、チャレンジすることは大事。

でも引いて戦う時も必要ですし、自分たちが意図的であれば問題ない」と話した。過去W杯で16強以上に9度進出しているメキシコ相手に実行できれば、一つの評価になる。

 ボールを持つことで「守備で疲弊することがなくなる。連戦になった時は、それで変わってくる」とメリットを強調した三笘。W杯での上位進出を見据え、保持率の向上は体力の温存にも有効だ。ボールを保持するためには、チームとして狙いを持った守備で奪い返すことができるかも重要になる。攻守一体の戦い方を志向できるか。世界中堅国相手に、握って勝つを実行する。

 【南野】メキシコ代表のイメージについて、「日本と身長など変わらないサイズの選手たちがうまくて、いやらしいところを突いてくる、ずる賢いサッカーをしてくるのかなっていうイメージはあります」と明かした。今回、2列目のポジションにはMF鈴木唯や佐野航ら若手も選出。30歳の経験豊富なアタッカーは「彼らみんなうまいので、視野にいいタイミングで入ることがお互いできれば、いいプレーが生まれると思う」と語り、まだ代表経験の浅い選手たちとのコンビネーションも楽しみにしていた。

 〇…メキシコ戦の3バックは右から板倉、渡辺、瀬古で挑む可能性が高くなった。

非公開練習後、報道陣の前でDF陣のみで連係を確認する居残りトレーニングを行い、3人が同組に。センターバック陣は冨安、伊藤、町田、高井と負傷者が続出する中、今夏にアヤックス移籍の板倉、フェイエノールト移籍の渡辺、ルアーブル移籍の瀬古と環境を変えた3人が、DFラインを担うことになりそうだ。

 ◆21年東京五輪でのメキシコ戦VTR

 ▽1次リーグ第2戦=2○1(7月25日) 日本は前線からの守備が機能し、前半6分に久保、同11分に堂安と効率的に得点。ボール保持率では36%と圧倒されたが、1失点でしのぎ2―1で勝利した。

 ▽3位決定戦=1●3(8月6日) メキシコの勢いに押され、後半13分までに3失点。後半33分に途中出場の三笘が1点を返したが、1―3で敗れて53年ぶりメダル逃す。ボール保持率は後半に押し返して最終的には52%だったが、試合の主導権はメキシコに譲って敗れた。

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