【オークランド(米カリフォルニア州)5日=金川誉】日本代表は6日午後7時(日本時間7日午前11時)からメキシコ代表と対戦する。5日は試合会場で最終調整した。

アジア勢以外との対戦は23年10月のチュニジア戦以来。FIFAランクで格上を相手に世界での立ち位置を知る一戦に向け、チーム内で期待度が上がっているのがFW上田綺世(27)=フェイエノールト=だ。ボールを蹴った瞬間のシュート音は衝撃的。29年ぶり白星もかかるメキシコ斬りへ、ひときわ異彩を放つ上田の“爆音シュート”を「聞いた」。

 気温20度前後の涼しいピッチで約15分公開された前日練習後、取材対応した上田は、メキシコ戦を「全力でぶつかって、格上の相手とどう戦えるのか確認できる機会」と位置づけた。

 所属するフェイエノールトで開幕3試合4得点と絶好調。守備ラインの裏へ抜け出すタイミングやポストプレーも特長だが、別格なのがシュート力だ。森保ジャパンでは1トップの筆頭格。アジア最終予選でも5試合2得点と、負傷で外れていた時期以外は存在感を示してきた。この日の最終調整ではシュート練習は見られなかったが、今遠征の練習中にピッチに響くあの“音”を聞くと、これまでの活躍ぶりはまだまだ物足りなくも感じる。

 米国遠征中、選手たちが居残りでシュート練習を行う際、「ボンッ」と何かが破裂したかのような音が響くと、すぐに上田のシュートだとわかる。他の選手とは音の大きさも響きも違う。

体重を乗せたパワフルで鋭い振り足で放たれる一撃は、ドライブ気味の軌道を描いてネットに突き刺さる。その上田のシュートを、イタリア1部パルマで各国ストライカーのシュートを受けてきたGK鈴木彩は「速いし、重い。自分が今まで受けてきた選手で一番のパワーを持っている」と評する。

 メキシコ戦では、かつてのライバルとも再会する。同代表FWサンティアゴ・ヒメネス(24)=現イタリア1部ACミラン=は、昨季途中まで同僚。上田がポジションを奪えなかった選手だ。「僕に足りないものを持っている存在として、お手本にするところもあった」というヒメネスから、ポジショニングなどを吸収してきたことが、今につながっている。「たぶん誰よりも打っているから。本数は」と上田が語る愚直なシュート練習で磨き上げたパワーと、積み上げてきたFWとしての質。すべての要素がかみ合った時、日本が世界の頂点に挑むため、必要不可欠な絶対的ストライカーが誕生する。森保ジャパンにとっても収穫の一戦になることは間違いない。

 〇…14年8月~15年2月に日本代表監督に在任し、24年7月からメキシコ代表を率いるアギーレ監督(66)は「日本人選手はとても優れている。

非常に競争力のあるチームだ。日本でとてもいい時間を過ごした私にとっては、特に思い入れのある試合になる」と感慨深げに語った。チームは高い技術力とオールコートのプレッシングが特徴。9日(現地時間)に対戦するFIFAランク23位の韓国戦とあわせ「これらの試合はとても有益になる」と見据えた。

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