◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 熱のこもった言葉に胸を打たれた。8月10日に広島市内で行われたサッカー日本代表・森保一監督(57)のトークイベントを取材した。

森保監督は被爆80年の今年、現役、クラブ監督として過ごした広島の平和記念式典(同6日)、出身地である長崎の平和祈念式典(同9日)に出席した。2018年に代表監督就任後、式典への参列は初めて。6月には沖縄の戦没者追悼式にも参列したことを明かした。

 1年を切った北中米W杯を見据えて「喜びも悲しみも日本の歴史を知った上で戦っていくということ」と説明した。「(戦争で)生きたくても生きられなかった人たちがいる。平和があるからこそ、自分の好きなことができる。今、この時間が当たり前ではないんだな、ということを改めて考えさせられた。自分たちが今を一生懸命生きなければならない」と日常のありがたさを口にした。

 戦争で命を落とした人や、再興に尽力した人たち。やりたいことができず、その時々で国を思って、日本の歴史がつながった。「日本の歴史の中で、自分たちの力を出し切るという思いを持って挑みたい」。平和の下でサッカーを追求できることを感謝し、W杯の勝利、躍進を国民に届ける。

式典に出席し、森保監督は思いを深めたように感じた。

 日本人であることに誇りを持ち、試合前の国歌斉唱時には感極まった表情を見せる。覚悟を決めた指揮官は、来年どんな歴史をつくるのだろうか。(サッカー担当・岩原 正幸)

 ◆岩原 正幸(いわはら・まさゆき)2004年入社。今年からサッカー担当キャップ。

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