J1のG大阪に8月、下部組織出身のDF初瀬亮(28)が復帰した。2017年に日本代表招集経験もあるサイドバック。

神戸に在籍した昨季は、主力でリーグ連覇と天皇杯優勝の2冠に貢献。2月にイングランド2部のシェフィールド・ウェンズデーに移籍したものの、約半年で契約満了となり、18年以来、約7年ぶりにG大阪へ帰ってくることを決めた。このほどスポーツ報知のインタビューに、海外初挑戦での経験や、古巣を背負う覚悟を明かした。(取材・構成=森口登生)

 G大阪産サイドバックが“ホーム”に帰ってきた。海外でのプレー続行を視野に新天地を探す中で、神戸など複数の国内クラブが獲得に乗り出したが、決め手はG大阪の「誠意」だった。

 「もう一回、神戸に帰るのか、ガンバに帰るのか、他のチームに行くのか、すごい悩んだ。その中で条件提示も(オファーの)次の日にしていただいたり、何もかも他と比べものにならないぐらい誠意を見せてくれた。うれしかったし、もう一度、ガンバで頑張って、タイトルを取りたい」

 シェフィールド・ウェンズデーではリーグ出場6試合。今春には契約延長の話も出ていたというが、クラブの財政状況などで実現せず。言語の壁や気候など、何もかも挑戦の日々だった。

 「(英語に)慣れない中でも通訳をつけずに毎日勉強し、成長できた。給料の未払いとか、メディアに出ないところで結構、いろいろあった。

雪も降っていて寒い。晴れているときはないし…。ピッチ状態もずっとぐちょぐちょで(笑)。でも、それも巡り合わせ。海外に出たから感じられたものはあったので、この半年は自分にとって何も無駄ではなかった。向こうに行って身体的、精神的なタフさは、より磨きがかかった。いいチャレンジができた」

 G大阪復帰後は、8月23日の横浜FC戦(パナスタ)で初出場し、3―2の勝利に貢献。続く同31日、湘南戦(レモンS)では2アシストで5―4の激戦を制した。合流当初はリーグ3連敗中だったチームにアクセントをもたらした。

 「負けているときこそポジティブにいかないと。練習から意識はしていたし、チームの雰囲気は来た当初より変わった。神戸では、負けたときにどう修正するかは、すごいプロフェッショナルだなって思った。

次こそ、もう絶対に負けないという気持ちを出すところは、ガンバでも全面的に出していければ。技術も相当、高い選手がいっぱいいるので、負けるチームじゃない」

 精神的支柱のMF倉田秋(36)やエースで主将のFW宇佐美貴史(33)もベテランの域だ。いつかは来る世代交代。同じ1997年世代はDF黒川圭介、MF安部柊斗ら7人。次世代を背負う覚悟はできている。

 「ガンバを背負っていかないといけない。僕たち世代が結果を残せば若手も勢いづいて、ベテランの選手たちも自分たちに負けられないっていう競争が生まれる。競争があるチームって本当に強い。誰が出ても結果を残すところは、強いチームの証し。結果を残し続けたい」

 G大阪を巣立ってから約7年。その後の経験をクラブに還元し、J1で中位に甘んじるチームの巻き返しに一役買う。

 ◆初瀬 亮(はつせ・りょう)1997年7月10日、大阪・岸和田市生まれ。

28歳。中学時代はG大阪ジュニアユース所属。同ユースを経て、2016年にMF堂安律(現フランクフルト)らとトップチーム昇格。17年に東アジアE―1選手権で日本代表招集。19年に神戸へ完全移籍。同年9月に福岡へ育成型期限付き移籍。20年に神戸へ復帰。J1通算188試合2得点。180センチ、70キロ。利き足は両方。好きなアーティストは、レゲエサウンドマンの「RED SPIDER」。

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