スポーツ報知では、関東大学サッカーリーグの魅力を伝える企画を随時掲載する。第7回は明大のMF島野怜(4年)がインタビューに応じ、4位からリーグ戦後期での巻き返しを誓った。
紫紺の誇りを胸に、逆転優勝を狙う。島野が不退転の覚悟を示した。
「明治の意地を何としても見せる。結局明治かよというか、今年も明治だよなと思わせたい。明治としての意地、4年間やってきた意地とプライド、全てを懸けて臨みたい」
明大は昨季15勝7分けで史上初の無敗優勝を達成。得点王とアシスト王を獲得したFW中村草太(現広島)を筆頭に、4年生6人が後にJ1に入団した黄金世代だった。3年生ながらベストイレブンを受賞した島野は投票で今季の主将に決定。しかし「本当にこの決め方でいいのか」と考え、部全体で話し合いを実施し、自らが立候補する形で正式に就任した。さらに佐藤恵允(けいん、現FC東京)、中村が背負ったエース番号10番も背負った。
「自分が明治を勝たせ、引っ張っていく思いをもちろん持っている。(中村)草太さんは圧倒的な結果を残して、(佐藤)恵允さんも圧倒的な存在感があり、2人は大学の顔。ただ、自分は泥臭く戦ったり、誰よりも走ったり、声を出したり、チームに対する影響力をより意識してやっている。誰もが分かる数字はもちろん狙っているが、それ以上に戦う部分、熱くやることを意識している」
だからこそ、現状にふがいなさを感じている。6月8日に筑波大に敗れ、567日ぶりにリーグ戦で黒星がついた。そこから立て直せずリーグ戦で連敗。総理大臣杯の出場も逃した。
「先輩に対する申し訳なさ、情けなさが大きかった。無敗でないといけないという見えない、感じていない重圧もあったと思う。それで少し受け身になり、チャレンジし切れていない部分もあった」
だが、明大で過ごしてきた時間が、島野の自信を深める。
「他大学がこだわっていないところまでこだわるのが明治。やり続けることの大切さを去年の先輩方からはすごい学んだ。
10月はホームの八幡山グラウンドで日体大(4日)、東洋大(18日)、東京国際大(25日)と戦う。東洋大は昨年の全日本大学選手権と今年の総理大臣杯で優勝。天皇杯でも史上初めてJ1クラブを連破し、王者・神戸も追い詰めた。同じく柏入り内定のDF山之内佑成もおり、負けるわけにはいかない。
「最近、『東洋すごいな』と思っている人が多いと思う。そこで叩いとけば、『やっぱり明治か』となる。とんでもないくらい圧倒して勝ちたい。(天皇杯での躍進は)すごいなとは思いましたけど、悔しいし、明治は日本一強いと思っている。それを証明するために負けられない」
183センチ、83キロの体格を誇る大型ボランチからはロマンが漂う。
東京Vからもオファーがあったが、「自分に足りないものが一番身につき、厳しい方に行った方が後悔しないのかなと思った。あとはスタジアムの一体感、全員で勝利を目指す姿も良かった」と柏への入団を決めた。島野は「ボールも奪えて、点も取れるボランチを目指している」と言葉に力を込めた。(浅岡 諒祐)
【取材後記】 「負けず嫌い。負けたくないんですよ」と話す島野の言葉からは、節々に力強さが伝わった。明大前監督の栗田大輔氏が東京Vの副社長を務めることから、「そちらの方がやりやすいのでは」と聞くと「ヴェルディは明治(OB)の人が多い。同じ環境に身を置いたら同じことしか学べない。助けられることは別に望んでいない。
ジュニアユース時代に過ごした鹿島への思いを聞いた際も「オファーをもらった上で断りたかった。(ユースに上がれず)悔しさがあったから」と笑う。精悍(せいかん)な顔から放たれる力強い言葉に、引き込まれる感覚を覚えた。(大学サッカー担当・浅岡 諒祐)
◆島野 怜(しまの・れい)2004年1月7日、石川・白山市生まれ。21歳。人気漫画「キャプテン翼」の影響で4歳からサッカーを始める。中学は鹿島ジュニアユースでプレー。高校は仙台育英高に進学し、3年時は主将。22年に明大法学部に入学。24年はベストイレブンを受賞。