J2北海道コンサドーレ札幌MF荒野拓馬(32)が復帰戦で「パッション」を注入し、嫌な流れを断ち切る。札幌は9月30日、ホーム・山形戦(4日)に向けて、宮の沢で調整した。
9月13日のホーム・いわき戦で前半36分にボールを追って滑り込んだ際、足の裏を見せて相手に接触したと判定され、一発退場となった。数的不利となった試合は1―5で敗れ「あのタックルは反省したい」と口にしたが、持ち味の積極性を抑える気はない。「この前はアグレッシブさが悪い方向に出てしまったが、ああいったプレーで相手のチャンスの芽をつぶしていけたら」と強調した。
観客席から見た前節・仙台戦の戦いに、闘志が再燃した。0―3の結果に「自分みたいな選手がアグレッシブに行くことで、チームに活気が出るなと分かった試合。負けてる状態でも誰かが球際にがっつり行くとか、そういったパッション的なものは必要なんじゃないかなと思いました」。相手の勢いに押され、主導権を握られ続けた悔しさは、自らピッチに立って、晴らしにいく。
仙台戦前日の9月26日、札幌U―15から共闘してきた1学年下のMF深井一希(30)が、今季限りでの現役引退を発表した。本人の報告に涙した荒野は「13歳から一希とプレーしてきて、約20年間、ボランチの相方としてすごく支えてもらった。ユース時代も含めてプロでもJ1昇格したり、ルヴァンカップ決勝で戦ったり、いい経験をしてきた仲間。
深井に対し「まだまだやって欲しいという気持ちはある」と荒野は本音を口にする。ただ両膝の痛みに苦しむ後輩の姿を見続けてきただけに「大好きなサッカーに対する情熱が無くなっていくというのは苦しいことだと思うから。気持ちは尊重したい」と思いやった。選手として一緒に戦えるのは残り7試合。J1復帰へ、戦線復帰した荒野が、深井の思いも背負い、戦う。