日産自動車は3日、サッカーJ1の横浜FMを運営する横浜マリノス(横浜市)の株式売却検討に関し「筆頭株主であり続ける」との声明を発表した。約75%のマリノス株式を持ち、運営権の売却を検討しているとの9月29日付のスポーツ報知の報道後、初めての対応で「マリノスは日産の伝統と価値観、地元を大切にする姿勢の象徴であり、私たちは今後もチームの目標達成や将来の発展を支援し続けます」などと記した。
1972年の日産自動車サッカー部創部から、地域に根ざした名門クラブを巡り、横浜市の山中竹春市長はこの日、日産に対し、市内での活動を継続するよう要望したと明らかにした。同市によると、日産のイバン・エスピノーサ社長宛てに「マリノスの活動が今後も横浜で継続されることを強く望む」とする要望書を、横浜商工会議所の上野孝会頭らとの連名で送付。記者団に「市民の健康増進や経済発展に大きく寄与してきた。地域の総意を伝えた」と話した。
横浜FMの運営権については、家電量販店大手のノジマ、IT大手など複数社に売却を打診したことが明らかになった。日産出身で同クラブの中山昭宏社長(58)も身売りが検討されていることは否定しなかったが、販売店へのクレームなど「本業にも多大な影響があった」と日産関係者は漏らす。地元住民やサポーターから反対の声が上がっていた。売却額は十数億円規模とみられ、日産の事業規模から見ると財務面の効果は限定的との見方もあり、声明でひとまず幕引きとした。
「今後も日産は、地元である神奈川県、横浜市に対して、引き続き貢献していきます」と表明した。業績不振で保有資産の見直しを図っており、クラブの「成長を支え、財務的な持続可能性を高めるため、長期的な戦略の一環として、株主構成の強化について積極的に検討しています」と、保有する一部株式の売却を示唆した。