◆明治安田J1リーグ▽第33節 浦和1―0神戸(4日・埼スタ)

 8位浦和は2位神戸にホームで1―0と勝利し、5試合ぶりの白星を挙げた。元日本代表GK西川周作が、0―0の前半41分に神戸MF宮代大聖のPKをストップ。

このビッグセーブが後半2分の先制ゴールを呼び込み、チームに勝ち点3をもたらした。

 積み重ねてきた経験のなせる技だった。PKの場面、ゴール右下へのシュートをはじき出した西川は「上に跳ばず、水が流れるように体を持っていけたのは、日々練習している成果が出たと思います。無駄な一歩、角度が出ていれば、届かなかったと思う」と振り返った。どれだけ体をスムーズに、無駄なくパワーを伝えて動かせるか。GKとしての技術が集約したプレーだった。

 またPKの直前には、左手を3度、けん制するかのように動かした。「相手に少しでもプレッシャーがかかればいいな、と思って。あまりああいうことはしないんですけど、自分の中で余裕があって。駆け引きしようかな、と思って」。ただ左手で注意を引いたが、狙いはその逆だった。

 神戸・宮代とは昨年の神戸戦でもPKで対峙し、止めた経験があった。

その際も右に跳んでセーブしたが「ストライカーは、自分を強く持っている選手、自分を貫く選手が多い。(止めた前回と)同じところに蹴ってきそうだな、という意思を感じたので。そこは冷静に分析し、間合いをはかっていました」。今回も自身の右に放たれたキックを、右手で完璧なタイミングではじき出した。

 前回ホームで戦った9月20日の鹿島戦では、ゴール前のパスミスが失点に直結した西川。3試合ぶりのホームは重圧のかかる状況下だったが「ミスは僕自身の問題。自分で解決するしかない。あのときは(ミスが)ニュースになったんですけど、今日はいいニュースをみなさんに書いてもらえたら、GKをやる子供たちが勇気をもらえるんじゃないかと思います」と笑顔を見せた。GKはミスが失点に直結するポジションでもあり、またビッグセーブでチームを救うことができるポジションでもある。酸いも甘いも知る39歳の守護神が、この日は間違いなくチームに勝利をもたらした。

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