すさまじい衝撃音を残した岡本の打球が、逆方向へすっ飛んでいった。フリー打撃の10スイング目。

白球は右翼後方にそびえる「シマダヤ」看板下部のヘリをかすめ、客席最上段に着地した。横浜なら場外に消えていたであろう推定130メートル弾に「まだ練習ですから。シー」と右手人さし指を立ててニヤリ。9月以降に打率3割6分9厘、4本塁打、18打点の無双モードを維持していることをうかがわせる驚弾だった。

 CSウィークに入り、ギアを一段階上げた。全体練習が再開した前日4日はトレーニングシューズで通したが、この日は打撃練習でスパイクを着用。47スイングで15発。左翼に3本、中堅へ5本、右翼に7本と広角に圧巻のサク越えショーを披露した。

 完全アウェーの敵地が、下克上日本一への出発点となる。DeNAはCS第1Sの外野エリアを全てホーム側の外野指定席に設定したと発表し「ニュースで見ましたよ」と岡本。ビジター側は左翼ポール際ファウルゾーンに限られ、外野スタンドは青一色に染まることが予想される。

 「甲子園も僕が出始めたときに比べたら(ビジターファンエリアが)狭くなっていますし。

逆に東京ドームもね、阪神戦のときは(阪神ファンゾーンが)広がっていますよね? そういうものだと思います」

 それでも23年WBC決勝では開催国・米国を相手に一発を放つなど、アウェーの雰囲気も苦にしない主砲。さらにハマスタでは今季、8試合で打率5割8分6厘、2本塁打、10打点と手がつけられなかった。15年9月5日にはプロ1号も放った縁のある場所で、敵地を黙らす一発を放り込む。

 泉口、岸田、中山ら4番の前後を打つ打者が軒並み上り調子で、吉川も1軍に再合流。打線の破壊力は増すばかりだ。横浜、甲子園とアウェーを突破し「#ドームに帰ろう」を実現する。(内田 拓希)

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