サッカー日本代表の森保一監督(57)とラグビー日本代表のエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC、65)の両指揮官によるスペシャル対談が、このほど日本テレビの企画で実現した。ともにW杯で「8強以上、その先の世界一」を目標に掲げ、2期目を率いており、個の力や一体感について、世界を相手にも“先手必勝”を貫く姿勢を確認し合った。

日本テレビではサッカー代表のパラグアイ戦(10日午後7時から放送)、ラグビー代表のオーストラリア戦(25日午後2時30分から放送)をいずれも全国ネットで生中継する。(取材・構成=岩原 正幸、大谷 翔太)

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 両競技における10月の重要なテストマッチを控え、指揮官同士の初共演が実現した。現在のサッカー代表はFIFAランク19位、ラグビーは世界ランク13位。世界トップとの差をどう捉えているのか。

 森保監督(以下、森)「現在の日本代表の多くは、欧州の強豪クラブに身を置き、厳しいポジション争い、強度の中でフィジカルや質の高いプレーを磨いています。私はそれが日本代表の強化につながると思います。22年カタールW杯では、ドイツやスペインに勝つことができましたが、最初は耐えて(前半0―1)、相手が少し緩んできたところを勝ちに持っていく戦いでした(ともに逆転で2―1)。でも、2期目はもうそれは通じない。先行逃げ切りで勝てるようにトライしています」

 ジョーンズHC(以下、ジ)「日本は団結力、一体感が世界一だと思います。日本人が持つ素晴らしい精神により、持っている能力以上のプレーができる。日本人のスポーツの最大限を引き出せるのが一体感だと思います」

 森「ラグビーでも、サッカーでも一体感を持って戦うことが、日本にプラスアルファの力をもたらし、世界で勝っていけると共有できてうれしいです。私が選手たちに言っているのは『一体感から入らないように』ということ。

サッカーで言えば、フィールドプレーヤーは1対1で全部勝っていく力をつけ、その上で一体感を持って戦うこと。個の強さを大きくしてくれと、選手に求めています」

 ジ「素晴らしいですね。まず、それぞれの選手に自分のいい仕事をしてほしい。そこからチームの一体感をつくる。そこは日本人選手が得意とするところだと思います。日本の文化において、ハーモニー(調和)はとても重要な要素です」

 チームのまとめ役、主将についての考え方とは。

 森「主将も一選手として、プレーで代表のレベルであることを示してくれる。そこから経験、チームをまとめるために発信してくれる選手を主将にしたい」

 ジ「ラグビーも似ています。ユニークなところは、日本人と外国人が、一緒にプレーします。2つのグループをまとめることができ、ロールモデルである必要があります。チームではFWリーチ・マイケル(36、BL東京)がいます。3度W杯でプレーし、キャリア終盤に差しかかっていますが、今も素晴らしい主将で、周りの選手が持つ以上のポテンシャルを引き出すことができます。

遠藤(航)選手(32、リバプールMF)のスペシャルな点は?」

 森「世界トップ基準の中で自分の強みを発揮して、プレーで引っ張ることができる。ボランチとして周りの選手の良いところを引き出し、サポートする。ピッチ外では、グイグイ引っ張るという感じではないですが、状況を見て、適材適所でチームや個々に対して最適なコメントをし、チームの成長に力を発揮してくれる。世界を知る主将が日本を引っ張ってくれるので、監督は心強いです」

 森保監督からジョーンズHCに聞きたいこと。

 森「エディーさんの1期目から2期目で、日本代表の選手たちがピッチ内外で変わったなというところを教えていただきたい」

 ジ「15年の時はすごくアマチュアなチームでした。今はよりプロ化して、コーチングも、より選手たちと協力をしながらという形に変化しています。とくに若手は、この10~20年で変わりました。元々はトップダウンの、上から下へのアプローチだったのが、今はどちらかというと一緒にやっていくスタイルです」

 森保監督はカタール大会以降の2期目で“先手必勝”に向けチャレンジを続ける。ジョーンズHCは、スピードを武器とする「超速ラグビー」をコンセプトに掲げ、同じ志を持つ。

 ジ「スタートからアグレッシブにプレーして、自分たちのアタックを見せたい。試合の中盤ではコントロール。最後、ベンチメンバーを入れてアグレッシブにフィニッシュ。

それが自分たちの考えるプランです」

 サッカーW杯北中米大会は1年を切り、ラグビーW杯オーストラリア大会はあと2年となった。

 ジ「目標はベスト8。8強に入れば、何が起きてもおかしくない。この2年間で、プレーの一貫性を上げて、日本人のスタイルを確立したい」

 森「前回W杯から積み上げたものを発揮し、我々がより仕掛けて勝つ。日本人の一体感と粘り強さをもって、勝ち切れるようにチーム全体で意思共有して表現したい。W杯で世界一になる目標を公言し、チャレンジしています。ただ、現実は一度も8強に届いたことがない中で、エディーさんも『その先は何が起こるか分からない』と。現実的な目標は持ちながらも、世界一になるという目標を強く持ち、どう勝っていくか。厳しい戦いを勝てるように力をつけたい」

 ◆番組情報

 ▼サッカー キリンチャレンジカップ2025「日本×パラグアイ」

 放送日時:10月10日(金)午後7時~同9時24分 最大延長10分

 日テレ系28局+UMKの全国29局ネットで生中継

 ▼ラグビー リポビタンDチャレンジカップ2025「日本×オーストラリア」

 放送日時:10月25日(土)午後2時30分~同5時

 日テレ系28局+TOS+UMKの全国30局ネットで生中継

 配信:Hulu

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