◆パ・リーグ 楽天1―2オリックス=延長11回=(5日・楽天モバイルパーク)
オリックスのドラフト3位・山口廉王(れお)投手(19)が今季のレギュラーシーズン最終試合となった5日の楽天戦(楽天モバイル)でプロ初登板初先発し、1回を無安打無失点と堂々のデビューを飾った。仙台育英出身の右腕は1四球を与えたものの、最速150キロの直球を軸に強気の投球を披露。
オリックス・山口はデビュー戦を終えると、初々しく言葉を紡いだ。「誰でも踏める場所じゃないので、1軍という場所は。スピードもある程度出せたし、失点もしなかった。1イニングの中では合格点」。2死から黒川に四球を与えたが、続くボイトを三ゴロに料理。最速150キロの直球にカーブ、スライダー、フォークを織り交ぜて役割を全うし、宮城にバトンをつないだ。
思い深き東北の地で、堂々の第一歩。野球人としての礎を築いたのは、宮城北部リトルシニアに所属した中学時代だった。入団当初から身長は170センチ前後あったが、チームとして力を入れていた「食トレ」を徹底。練習日は2リットルの大容量の弁当箱を平らげ、午前10時と午後3時には補食のおにぎりを頬張った。昨秋のドラフト指名後は、100キロ近くまで大きくなった体で訪問し「頑張ります!」と決意表明。
今年1月の新人合同自主トレでは、同じ06年生まれの台湾出身・陳が途中から合流。慣れない異国の地でプロ生活をスタートさせた育成右腕に、積極的に声を掛けたのが山口だった。「球は速いけど、まだ完全には(日本に)慣れていないと思う」と気遣い、開幕後は互いの登板ごとにフォームについて意見交換。今では通訳を介さずに会話する機会も増えるなど、有望株として高め合う仲になった。
高卒新人が猛烈な追い風を送り、チームは今季最終戦を白星締め。74勝66敗3分けの貯金8でシーズンを終えた。「自分の変化球、直球はある程度、捉えられないと分かった。イニングが増えた場合にどう対策するのかを今後、練習の中で見つけていければ」。山口高志、山口和男に続き、球団の「山口列伝」に名を連ねた背番号47。オリの未来を、希望の光で照らした。(南部 俊太)