巨人のファーム選手の今を伝える「From G」。第15回は育成ドラフト6位・竹下徠空(らいあ)内野手(18)。

1年目の今季は3軍を主戦場とし、夏場に4番も任されてチーム最多の11本塁打。フルスイングが魅力の大砲候補は、9月には2軍戦初出場で初安打を放った。未来の主砲を目指し、駒田3軍監督の下で「4番」として修業を積む若武者が、今季の収穫と課題、今後の目標を語った。(取材・構成=加藤 翔平)

 竹下は身長183センチ、体重98キロの大柄な体格から繰り出す豪快なスイングと、愛されキャラが魅力だ。24年12月に骨折していた左手有鉤(ゆうこう)骨の手術を受け、リハビリから始まったプロ生活。3月にも練習中に右人さし指を骨折し、復帰まで約2か月を要した。

 「最初にけがで始まって、治ってまたけがをして。だいぶ他の人よりも出遅れてしまったけれど、試合に使っていただいて、少しずつ成長できた1年でした」

 3軍戦では打率1割9分9厘ながら、チーム最多の11本塁打で31打点と右のスラッガーとして持ち味を発揮。課題の守備でも一塁、三塁で懸命に打球を追った。

 「ホームランを11本打てたけれど、打っている投手の球速が145キロを超えていたのが2本くらい。速い球が課題です。守備でも三塁でミスが多いですし、一塁だけ守れても上(1軍)に行ったら自分より大きい選手もいっぱいいる。

そういう人たちに勝つために守備も大事だと思います」

 3軍でのアピールが実り、9月11日のイースタン・オイシックス戦(Gタウン)で2軍公式戦に初出場。代打で途中出場し、2打数2安打と結果を残して、お立ち台にも上がった。

 「自分の中ではけがもあったので、呼ばれた時には『もう次のチャンスはないんだ』って気持ちで臨んだ。運良く結果も出たけれど、それ以降、呼んでもらえてないので、まだまだ足りないってこと。他の人よりも実力が劣っているので、もっと頑張ろうと思いました」

 8月上旬からは3軍で4番を任された。結果と自己犠牲にこだわり、チームの勝利へ貢献することを目指した。目標である岡本の背中を追いかけ、試合後には誰もいなくなったベンチ前で黙々とスイングを続けている。

 「チームの中心選手が4番を任される。4番が打てばチームは勝つし、打てなくても次につなぐ。中心選手がそう動いていたら、チームはいい方向に動く。全部が全部、欲を出すのではなく、時にはバットを短く持って泥臭くいかないと。そういうことができて、いいところで打てるのが理想の4番。

目標の岡本和真さんに少しずつ近づけると思う」

 駒田3軍監督からは厳しく指摘を受けることもあるという。シーズン終盤には7番に降格したが、期待の裏返しと理解している。

 「駒田さんには個人的に話していただいた。バッティングの調子が悪くモチベーションが上がらない時があって、それが他の練習にも出てしまった。自分の中では全力でも、他の人から見たら抜いている。評価は人がするものなので、そういう部分を見られているのだと思います」

 理想の4番に近づくため、鍛錬の秋を過ごして着実にステップアップを図る。

 「来年、まず目指すところは支配下を勝ち取ること。(春季)キャンプは2軍でスタートするのが第1ステップ。チャンスを与えられた時に、つかめる選手になりたい」

 人として、選手として未来の「4番」を目指して修業中。ひと回り大きくなった姿を見せ、来季こそ支配下昇格を目指す。

 ◆竹下 徠空(たけした・らいあ)アラカルト

 ▽生まれ 2006年11月12日、島根・大田市生まれ。18歳

 ▽サイズ 183センチ、98キロ

 ▽投打 右投右打

 ▽球歴 大田二中では21年に全国軟式野球大会で日本一。

明徳義塾(高知)では1年秋から主軸を打ち、高校通算18本塁打。3年夏の甲子園では4番で16強

 ▽ドラフト 2024年育成6位

 ▽座右の銘 「漢(おとこ)らしく」

 ▽好きな色 ピンク

 ▽あだ名 「タケシ」

 ▽憧れの選手 岡本和真

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