オリックス・山崎颯一郎投手(27)が「新化」に自信をみせた。今季は3度のファーム調整ともがきながらも登板数を昨年の7試合から28試合に増やし、9月以降に8試合で1勝4ホールド。
スポーツ報知の読者のみなさん、お久しぶりです。昨年から書かせていただいているコラム。2月の春季キャンプ直後以来ですね。開幕から悩みながら、やるべきことをやってきました。今年のレギュラーシーズンを表現するなら「新」です。チームに迷惑をかけたことは、事実として受け止めています。野球や投球に対する考え方を含めて新しくなったことを、僕なりの言葉でお伝えできればと思います。
今まではただ抑えるだけというか、勢いだけで投げてきました。今年の序盤も「球の強さは戻っているのに、何で打たれるのか」という感覚が続きました。
率直に思ったのが「考えていないな…」ということです。「この打者のここにどう攻めた」とか、投げている時の記憶がないことに気づきました。映像を見て思い出すようではダメです。体も変わっていくし、毎回同じフォームで投げられるほど器用でもありません。考えることで余裕が生まれると思いましたし、そういうふうな思考を持ちました。
目に見える結果として実行できたのが、9月のソフトバンク戦です。無死満塁という状況でも、頭の中はすごくクリアでした。例えば20日。あの時の状況や考えは、はっきりと記憶に残っています。まず海野選手でした。
2死からの周東さんにも冷静でいられました。ストライクゾーンにフォーク、インハイに真っすぐ、カウント1―1から真っすぐでファウル。どれだけ自分有利のカウントに持っていけるか、ということを考えながら投げていました。「フォークもあるよな?」と相手に思わせる中で、最後は真っすぐで見逃し三振。ラインを間違えずに外に投げているので、僕の中でものすごく自信になりました。
打者一人一人を整理しながら、落ち着いて抑える。今までならできなかったことですし、カウントを悪くして苦しむ自分の姿が思い浮かびます。力で押して、フルカウントから四球か、ヒットか…と。イケイケではなく、今は常に冷静で、考えている自分がいます。
僕の悪いところはいろんな投手を見たり、いろいろとやり過ぎて、取り組みを変えてしまうことでした。今はテーマを一つに絞って取り組むことが必要。そうやって助言をしてくれたのが、岸田監督です。昨年秋の高知キャンプからずっと見てくださったコーチやデータ班の方々にも、感謝しています。
過去に「スピードはロマン」と言ったことがあります。165キロという夢も捨てていませんが、それよりも大事なのは、長く野球をやること。今はそこを求めていません。もうすぐCSが始まります。投げる場面をいただければ、とにかく投げたいです。任されたところで勝利に貢献します。新しい自分が、もっともっと成長できると思っています。(山崎 颯一郎)
◆山崎 颯一郎(やまざき・そういちろう)1998年6月15日、石川・加賀市生まれ。
◆山崎の連日の無死満塁斬り 9月20日のソフトバンク戦(みずほペイペイ)は3―3の8回無死満塁に5番手で登板。海野を空振り三振、代打・野村を中飛、周東を見逃し三振に抑えると、直後に味方打線が2点を勝ち越し、今季2勝目を挙げた。