東都大学野球秋季リーグ戦第3週第1日▽青学大4―0駒大(7日・神宮)

 青学大は来秋ドラフト1位候補の最速154キロ右腕・鈴木泰成(3年=東海大菅生)が駒大打線を3安打に抑え、リーグ戦初完封。開幕5連勝に貢献した。

 * * *

 投げ抜いた。神宮のスコアボードに9つの0を刻み、鈴木が自らの任務を遂行した。リーグ戦初の第1戦先発で、駒大打線に3安打完封勝ち。最速150キロの直球にフォークを操り、8奪三振。ストライク先行で107球と、テンポ良く封じ込めた。

 「ストライクゾーンで勝負する投球で、いいリズムをチームに引き込めたのが勝利の要因。自分の持ち味を発揮できた。任されたところで堂々と投げられたのは、また一つ自信になった」

 メンバー表が配布された瞬間、神宮の記者席がざわついた。先発が絶対エースで今秋ドラフト1位候補の中西聖輝(4年=智弁和歌山)ではなかったからだ。右肘の張りもあって、中西本人は「行きたい」と先発を志願したが、安藤寧則監督(48)がストップをかけた。「きょうの1戦目は泰成に任せろと、そういう話で収めました」と指揮官。今季初めて、まっさらな神宮のマウンドへと走った。

 その中西は鈴木がベンチへ戻るたび、毎回のように声をかけて励ましてくれた。「さらに気合が入りました。先発するからには、相手の先発投手より先に降りないという意地、絶対先に点は取られないという意地が出たかなと思います」と負けん気を爆発させた。

 7月は侍ジャパン大学日本代表の一員として、国内で行われた日米大学野球選手権に出場。日本の5戦全勝に貢献した。早大のエース・伊藤樹(4年=仙台育英)のコンディショニングの作り方に刺激を受けた。「細かいところまで気にされていて、それがあってこそのコントロールの良さ、安定感だと。ストレッチに関して、思っている以上にほぐした方がいいと教えていただいて、そこは頑張っています」。さらなる進化へ貪欲に学ぶ日々だ。

 茨城県ひたちなか市出身。「自然が多いところが好きです」と故郷を愛する。市内の田彦中を卒業後、東海大菅生へ進学し、高校球界屈指の剛腕として注目された。

来年はドラフト1位候補として熱視線を浴びる。安藤監督も「順調に成長していってくれてるなっていうのはあります。ただもっと想像を超える、本当にどえらい投手になってほしい。球場が1球で雰囲気が変わるような、そういうのを求めたい」と期待を込めた。その完成形は、もっと先にある。(加藤 弘士)

編集部おすすめ