広島の新井貴浩監督が8日、マツダ内の球団事務所で松田オーナーにシーズン終了報告を行った。今季は15年ぶりとなる借金20で2年連続Bクラスの5位と低迷した。

就任4年目の来季に向けて「投手も野手も核となる選手をしっかり育てていかないといけない」と、決意を示した。

 「核となる選手」というのは「エースと4番」だ。育成と勝利の両立という難題に取り組む中、今季はともに“不在”だったことが大きな誤算だった。投手陣は床田の9勝(11敗)が最多で開幕右腕の森下は6勝14敗と大きく負け越した。打線はファビアンの17本塁打が最多だった。小園が首位打者に輝いたとはいえ、若手を成績で引っ張っていくような存在はいなかった。

 指揮官は、現状を「変革期」と表現する。4勝(16敗)しかできずにリーグ優勝が遠のいた7月頃には、もう若手に切り替え始めた。26歳・中村奨が、8年目にしてチーム最多3位タイの9本塁打と台頭の兆しを見せたものの、他に結果で成長を示した若手は見当たらない。

 光が見えない状況で、4日の今季最終戦後のセレモニーでの指揮官の言葉が“物議”を醸した。「新しい力が生まれる時、必ず苦しみが生じます。来年以降もこの苦しみは続いていくと思います」という“暗黒期”を思わせる発言に、スタンドから怒声が飛んだ。

この日、指揮官は「私の言葉足らずで、皆さまにはご心配をかけたかもしれない」と“真意”を付け足した。

 「優勝を目標にやっていくのは当然のこと。そこに向かって、今シーズン以上に厳しい道のりになるかもしれないけど、絶対に頑張ります、優勝を目指しますという気持ちだった。ちょっと私の言葉足らずで皆さんに心配をおかけしたというのは、この場を借りて謝りたいと思います。優勝を目指して頑張るのは当然のこと」

 来季の巻き返しに重要な打線の核となる4番について、指揮官は「外国人選手じゃなしに、日本人の選手がどっかりと中心に座るというのが理想だと思う」と語った。具体名を挙げることはなかったが、この難題にも取り組んでいく覚悟だ。

 若手はシーズン終了直後からフェニックス・リーグで汗を流し、11月には秋季キャンプで鍛錬の日々を送る。「より実戦を想定した中で、いい練習ができないかなと考えながら、量も質も上げていきたい」と指揮官。4年目の来季は、目に見える形での成果が求められる。

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