◆国際親善試合 日本代表2―2パラグアイ代表(10日・パナソニックスタジアム吹田)

 FIFAランク19位の日本は、来年の北中米W杯出場を決めている同37位のパラグアイに2―2で引き分けた。0―1の前半26分に先発FW小川航基(28)=NEC=が同点弾を決め、1―2の後半終了間際に途中交代したMF上田綺世(あやせ、27)=フェイエノールト=のヘディング弾で追いついた。

小川のA代表11試合目での通算10得点到達は、8月に死去した釜本邦茂さんの12試合を超えた。パラグアイとは通算5勝5分け2敗。日本は14日に中3日で同6位のブラジルと東京・味の素スタジアムで顔を合わせる。

 停滞ムードを、一振りで振り払った。北中米W杯のエースを狙うFW小川が、ゴールをこじ開けた。前半21分に失点し、劣勢だった同26分。中盤でパスカットしたMF佐野の縦パスを受けると、振り向きざまに右足で豪快なミドルシュート。GKが左手で頭上にパンチングしたが、ボールの勢いが勝り、ゴールネットへと吸い込まれた。「正直入ったと思わなくて、自陣に帰ろうとしたら入っていた。(足を)振る判断ができたのが大きい」と振り返った。

 これで代表通算11試合目で10得点。8月10日に81歳で死去した釜本邦茂さんが10得点に乗せたのは12試合目で、歴代最多75得点の日本サッカー不世出のストライカーを更新する記録となった。

磐田でプロデビュー時に当時の名波監督(現代表コーチ)からは「釜本さんのような選手になれる。釜本さんを見ているようだ」と言われてきた小川。試合前に釜本さんへの黙とうがささげられた特別な一戦で結果を残し「得点数を上回ったわけでもなく、まだ何者でもない。満足することなく前進したい」と、代表ストライカーの系譜を継いでいく決意を強くした。

 チームにとっても価値ある得点だった。9月の米国遠征はメキシコ戦(0△0)、米国戦(0●2)でノーゴール。3戦連続で無得点&勝利なしとなれば1999年のブラジル戦(0●2)、スコアレスドローだったベルギー戦、ペルー戦以来となる26年ぶりの大失態となるところだった。終了間際のFW上田の同点弾も含め「得点をストライカー2人で取れたっていうのは大きい」とうなずいた。

 現在の代表1トップの最有力候補は上田だが、W杯アジア最終予選出場6戦でチーム最多タイ4得点の小川の高い得点能力も光るものがある。「いつも彼(上田)から動き出しの部分だったり学ばせてもらっているけど、まあ、負ける気はないので。自分が一番だと思って、これからもやっていければ」と小川。ゴールを奪い続け、代表エースの座を勝ち取る。

(後藤 亮太)

 ◆小川 航基(おがわ・こうき)1997年8月8日、横浜市生まれ。28歳。桐光学園高から2016年にJ1磐田へ加入。19年夏にJ2水戸へ期限付き移籍、22年から横浜FC入りし、同年26得点でJ2得点王と同MVPを獲得。23年7月にオランダ1部のNECに期限付き移籍し、昨年7月に完全移籍。19年12月の東アジアE―1選手権・香港戦、ハットトリックで日本代表デビュー。利き足は右。186センチ、78キロ。

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