公明党の斉藤鉄夫代表(73)は10日、自民党の高市早苗総裁(64)と会談し、自民との連立政権から離脱すると伝えた。「政治とカネ」問題への自民の対応が不十分だと判断。
たそがれ時が近づく午後5時前、党首会談を終えた高市氏は冷静を装い、自民党本部で記者団の前に現れた。「総力結集」と書かれたポスターを前に「一方的に、先方からは連立政権の離脱を伝えられました」と不満をあらわにしながら事情を説明。党内手続きが必要だとして来週の再会談を申し入れたが、拒否されたことも明かした。
会談の具体的内容について「政治資金法改正に関する公明案について、この場で賛否を示すように求められました。今お答えできないとしたところ、具体的な回答ではないということになった」。約1時間半の押し問答を経て、高市氏から総裁が代われば連立維持もあり得るのかを問いただした。公明側は「総裁選で誰が選ばれても同じだ」との回答だったという。
連立離脱を「大変残念」とした上で、首相指名を得られるよう臨時国会召集日まで「一生懸命できる限り努力する」と述べた。指名で野党がまとまって統一候補を立てれば、両院で過半数を割り込む自民は下野する。
一方の斉藤鉄夫代表は党本部で「やると言ったら、やり切る。」のスローガンを前に会見した。高市氏とは「党首会談の最後に握手した」としたが、「納得された様子ではなかった」と断言。「こちらの条件に『これから検討する』『改革の精神は誰よりも負けない』と、何回も何回も何回もおっしゃっていた」と連立維持へ説得を受けたことも明かした上で「何度も自民党は検討すると言い続けてきた」と苦笑い。のらりくらりと約束を果たさないことへの不満が連立離脱へつながったと述べた。
公明は1999年10月に自民、自由両党連立政権に参加。野党に転落した時期を除き、自民を中心とした連立に加わってきた。石破政権の間は連立にとどまるが、次期首相の指名選挙を区切りに離脱する方向。首相指名では斉藤氏に投票し、閣外協力も行わない予定だ。
高市氏が首相就任しても、衆院で過半数を確保していなければ、内閣不信任決議案可決などで退陣に追い込まれるリスクを抱えた運営になる。(樋口 智城)