J1柏は10日、柏市内で川崎とのルヴァン杯準決勝第2戦(12日・三協F柏)へ向けた調整を非公開で行った。練習後に取材に応じたMF小泉佳穂は、今季4度目の川崎との対戦へ向けて「こっちも相手もやることが分かっているし、大きく変えてこないのもお互いに分かっている。
敵地で行われた第1戦は1―3で敗北。大黒柱のDF古賀太陽の欠場を筆頭に、多くの主力が欠場したが「入り自体は決して悪くない。むしろ結構良くて、自分たちのやりたいようなサッカーが出来ていた」という。しかし、前半10分にMF山本悠樹のシュートから先制点を献上。「久しぶりに出た選手もいる中で、ああいう早い時間帯での失点は相手に勇気を与える意味もありましたし、こっちは逆に精神的に削られる意味あいが大きい1失点目だった」と振り返る。
ただ、小泉が危機感を感じたのは2、3失点目。2点目はクリアミスから、3点目は自陣でボールを奪われてから許した失点だ。9月28日のリーグ戦(4△4)でも、連携ミスからのPK献上、不用意なボールロストからのカウンターで失点を重ねた。
「(第2戦は)2、3失点目の失点を減らさなきゃいけない。そこに尽きる。
長考を繰り返し、自身の考えを表現するのに適切な言葉を探した小泉。浦和で21年に天皇杯、翌年にはACLの優勝を主力として経験した29歳は、今の柏の状況をこう語った。
「まだ、次があると思っているんじゃないのか。来年どうなるかも分からないし、今ここにかけられなかったら来年もないと思う。これだけいいサッカーをして、チームとして、いい集団として戦えているから、これで結果が残らないのは悔しいし、もったいないと強く思う。とにかく目の前の1試合1試合に全てを出し切れるか、研ぎ澄まして集中できるか」
その気迫をチームで体現しているのがDF三丸拡とMF戸嶋祥郎だ。三丸は32歳で、戸嶋は30歳。
「サチくん(戸嶋)とか、ミツくん(三丸)を見ていると、ここを逃したらもう次はないとか、未来はないという思いで戦っているのが分かる。そんなことない人たちだけど、そう思ってプレーしていると思う。シンプルな技術的なミスが起きるか起きないかとは別の軸で、タイトルとか勝利をつかむために必要なことがある。そこは結構ここ最近の柏にかなり欠けている部分。ワンくん(犬飼智也)もそうだけど、特にあの2人はすごい」
決して精神論が好きではないという小泉が気持ちの面を強調するのは、その重要性も理解しているから。「ここに勝つんだという瞬間の熱量、集中力、思いがすごい」選手には、浦和で共闘した元日本代表MF阿部勇樹氏、同DF槙野智章氏、同DF酒井宏樹、MF岩尾憲の名前を挙げた。小泉は「レイソルでは僕を含めて、試合に出ている30前後の選手がそういう雰囲気を出せていない。この瞬間、ここが大事だとなったときに、チームを締めたり、時にはコントロールを出来ないといけない。僕がもうちょっとできないとですね」と自戒も込めて語った。
小泉は浦和に在籍していた2023年のルヴァン杯準決勝で、横浜FM相手に第1戦(0●1)を落とす中、第2戦(2〇0)で逆転した経験がある。柏も今季のホーム浦和戦で2点ビハインドから後半で4点を奪い劇的な逆転勝利を収めるなど、粘り強さも秘めている。今季の躍進を支えてきた小泉が、シーズンの最終盤をピッチ内外で引っ張る。