坂東巳之助(36)が歌舞伎座「錦秋十月大歌舞伎」(21日千秋楽)の「通し狂言 義経千本桜」第1部「渡海屋・大物浦」で渡海屋銀平実は新中納言知盛に初役で挑んでいる。
力強く張りのある声が持ち味で、スケールの大きな演技で観客を魅了している。
実直な性格で、飾った言葉を決して口にしない。「僕がどんな思いで舞台に臨んでいるのかというのは、お客様には関係のないこと。僕の思いを聞いてくださいとは、絶対に言いたくない」。あくまで自分よりも作品が優先。観客を楽しませることに集中している。
1日の初日から11日まで、長男の守田緒兜(おと)くん(7)が銀平娘お安実は安徳帝役で初お目見えした。「初めて出る舞台なので、まだまだ課題は山積みですけど、嫌がらずに出ていたので、良かったと思います」と語り、父親の顔をのぞかせた。(有野 博幸)