◆2025 パーソル クライマックスシリーズ パ・ファーストステージ 第1戦 日本ハム2―0オリックス(11日・エスコンF)

 「2025 パーソル クライマックスシリーズ パ」の第1ステージ(S)が11日に開幕し、新庄剛志監督(53)率いる日本ハムがオリックスを下し、2年連続の最終S進出に王手をかけた。指揮官は、今季900試合登板を達成したレジェンド・宮西尚生投手(40)に継投を託す奇策で完封リレーを演出。

この日、腰痛から再昇格した万波中正外野手(25)が先制の決勝打を放つなど、打線も起用に応えて難敵・山下から2点を奪った。

 会見場に現れた新庄監督は両拳を腰付近で引いて、「よっしゃ」とガッツポーズした後、上機嫌に語り出した。「今日は宮西スペシャルウルトラダイナミック総合コーチが継投をしてくれて。見事でしたね。勉強になりました」。現在、登録を外れている40歳の鉄腕・宮西に継投を任せたことを明かし、完封勝利を演出したレジェンド左腕を絶賛した。

 秘策は3週間前から温めていた。9月24日に宮西を登録抹消した際、「CS1戦目の継投を頼む」と声をかけた。その後は左腕を「指導役」として1軍に帯同させ、9月26日の西武戦(ベルーナD)では予行演習として、初めて継投を一任した。結果的に5人の投手を起用して8―5で勝利し、準備は万端だった。

 この日は、エース伊藤を7回115球で交代させ、8回は田中、9回は斎藤とつなぎ無失点リレー。「宮西くんは長年、すごいプレッシャーのある場面で900登板してきた。

選手に近いので気持ちも分かるだろうし、そういう期待を込めて」と、秘策の意図を明かした。

 ベンチ裏で試合を見守り、継投のタイミングを指示していたという宮西は、「リリーフは自分が生きてきて、人一倍経験しているところ」と、試合前にデータとにらめっこ。救援陣には細かく登板する状況を伝えて試合に臨んだ。「本当は選手としてマウンドに立ちたいけど、ボスが『チーム一丸で』という意味でミッションを与えてくれた。ボスじゃないと絶対にできない経験」と指揮官に感謝し、「頭を使うので、糖分がほしいくらい」といつもとは違った充実感に浸った。

 9回2死の杉本の打席では、右中間寄りの打球を警戒し、中堅・矢沢と左翼・五十幡を入れ替え。最後まで手を緩めることなく勝利し、2年連続でのファイナル進出に王手をかけた。「初戦を取れたのは、ものすごく大きい。あしたは2対1で勝ちたいと思います」。大舞台でも輝く“新庄マジック”で日本一への階段を駆け上がる。(川上 晴輝)

 〇…日本ハムの新庄監督が、査定額約8000万円の超高級車「ランボルギーニ レヴェルト」で球場入りした。午前9時29分、漆黒の車体から登場し、「僕の大好きなカウンタックが進化して、その進化を味わいたいと。

進化しすぎてスタートするまで20分くらいかかった。操作が分からなくて」と笑わせ、「ファイターズの選手たちの進化とともに、カウンタックも進化している。それを味わいながら運転してきました」と感慨深そうに語った。

 ◆主な今季の新庄マジック

 ▽気が変わり代打(5月31日・ロッテ戦=エスコン) 2点を追う9回2死二、三塁で代走の準備をさせていた矢沢を、まさかの代打起用。同点の中前2点打を放ち二盗も決め、郡司の一打でサヨナラ生還。「何で矢沢くんいったんだろ、俺? 勘ですね」

 ▽新人を大役に(7月26日・ロッテ戦=同) 後半開幕戦に高卒ドラ1の柴田を起用し、3回完全投球。2番手のバーヘイゲンも6回無失点に抑える完封リレーに「ばっちりでしょ。今日は自画自賛」。

 ▽意表つく奇策(8月5日・西武戦=同) 3点を先制した直後の3回1死二、三塁で万波に2ランスクイズを命じて成功=写真=。「あれがサードフライダブルプレーだったらアンチがお祭り騒ぎ」

 ▽横尾2軍打撃コーチ打線(9月20日・ロッテ戦=同) 折れたバットが頭部に当たり離脱中の八木打撃コーチに代わり、ベンチ入りした横尾2軍打撃コーチが打順を考案。1番・万波、2番・レイエスの“重量打線”で16安打8得点。

 ◆記録メモ レギュラーシーズン(公式戦)2位のDeNAと日本ハムが勝利。

CSの第1S初戦でともに2位チームが勝ったのは07年中日とロッテ、17年阪神と西武、23年広島とロッテに次いで4度目。07、23年はともに最終Sに進出したが、17年はともにその後の2試合で連敗し、第1S敗退した。

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