歌舞伎俳優の片岡仁左衛門が12日、東京・歌舞伎座で上演中の「錦秋十月大歌舞伎」(21日千秋楽)の「通し狂言 義経千本桜」で、いがみの権太を演じた。

 今月はAプロ、Bプロの2通りの配役で上演されており、第2部のBプロはこの日が初日。

「木の実・小金吾討死・すし屋」は大和国下市村の茶店で、いがみの権太が平家の御曹司・維盛の妻子と供の若武者・主馬小金吾に難癖をつける場面から物語が始まる。権太は小悪党ながら、我が子への情愛を垣間見せ、それが後の物語への伏線となる。

 仁左衛門が人間味のある権太を好演。手負いとなった状態で思いを語る場面は、悪人が善人へと心変わりする「モドリ」という演出で、一家の悲劇を印象づける。本心を明かす場面では、客席から感嘆の声が漏れた。

 9月21日に体調不良で休演したが、24日に復帰。この日も元気な様子を見せて客席を沸かせた。

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