サザンオールスターズの桑田佳祐がプロデュースした一夜限りの特別イベント「九段下フォーク・フェスティバル’25」が12日、東京・北の丸公園の日本武道館で開催された。ギター1本で気軽に誰でも楽しめるフォークソング(大衆音楽)への愛とリスペクトを込め、桑田自ら企画・発案。
日本で最も豪華な桑田流の“文化祭”。武道館が優しい空気に包まれた。
温かい拍手の中、日本のフォークソング史の立役者・吉田拓郎の「今日までそして明日から」の弾き語りで幕開け。続けて、自身の「明日へのマーチ」を届けた。2015年のサザンの全国ツアー以来、10年ぶりに立った武道館。桑田は「ようこそ、いらっしゃいました」とあいさつした。
「一日限りということでたくさんの応募をいただきまして。(来場できなかった方は)大変申し訳ございません」と恐縮したが、そこからは桑田節が全開。「私、司会の長門裕之です」とボケると、イベントのホスト役として「大したゲストは来ねえよと言っていましたが、全部ウソです。素晴らしいゲストが来ます。大きなご声援と、盛大な拍手をお願いします」と呼びかけた。
直々のラブコールに、桜井、吉井、竹内ら各世代を代表する一流ミュージシャン5組が顔をそろえた。5人の出演は、この日まで完全シークレット。ゲストの登場の度に、大歓声が起こった。
桜井とは「THE 夢人島 Fes.」(06年)以来19年ぶりの共演。桑田の「あの曲をお願いします!」のかけ声で、ヒット曲「奇跡の地球(ほし)」のイントロが流れると、武道館が揺れた。同曲の歌唱も19年ぶりで、2人は間奏で肩を組み、最後はがっちりと握手を交わした。公私ともに親交の深い竹内とはライブ初共演。原と共にコーラスで参加した楽曲「静かな伝説(レジェンド)」を初めて公の場で披露した。
この日のイベントは、レギュラーラジオのTOKYO FM「桑田佳祐のやさしい夜遊び」が放送30周年、同局が開局55周年を迎えたことから「何か特別なイベントを!」と打診され、桑田が快諾して実現。ギター1本を持ち寄れば、気軽に誰でも楽しめるフォークソングへの愛とリスペクトを込めて企画・発案した。
全29曲、約3時間に及んだ夢の空間。デビューから47年、今なお第一線を走り続けるエンターテイナーの桑田だからこそなし得た“特別すぎる”一夜となった。
【セットリスト】※カッコ内は発表年
1「今日までそして明日から」(1971年)桑田佳祐
2「明日へのマーチ」(2011年)桑田
3「君はロックを聴かない」(2017年)桑田&あいみょん
4「悲しみは雪のように」(1981年)桑田&あいみょん
5「偽者」(2024年)桑田&あいみょん
6「白い色は恋人の色」(1969年)桑田&あいみょん
7「SEA SIDE WOMAN BLUES」(1997年)桑田
8「ケンとメリー~愛と風のように~」(1972年)桑田&桜井和寿
9「HANABI」(2008年)桑田&桜井
10「慕情」(1992年)桑田&桜井
11「奇跡の地球」(1995年)桑田&桜井
12「夜空の星」(1965年)桑田
13「いちょう並木のセレナーデ」(1983年)桑田&原由子
14「花咲く旅路」(1991年)桑田&原
15「風に吹かれて」(日本語バージョン、1963年)桑田&原
16「ヨイトマケの唄」(1965年)桑田
17「太陽が燃えている」(1995年)桑田&吉井和哉
18「東京」(2002年)桑田&吉井
19「みらいのうた」(2021年)桑田&吉井
20「悲しくてやりきれない」(1968年)桑田&桜井
21「あの素晴しい愛をもう一度」(1971年)桑田&桜井&吉井
22「なごり雪」(1975年)桑田&あいみょん
23「元気を出して」(1988年)桑田&竹内まりや
24「Two Of Us」(1970年)桑田&竹内
25「涙のキッス」(1992年)桑田&竹内
26「静かな伝説」(2014年)桑田&竹内&原
ーアンコール-ー
27「California Dreaming」(1965年)出演者全員
28「今日の日はさようなら」(1967年)出演者全員
29「祭りのあと」(1994年)桑田