【ロンドン12日=大西健太】大相撲のロンドン公演(15~19日)に向けて、現地入りした横綱・大の里(25)=二所ノ関=が12日、会場となるロイヤル・アルバート・ホール周辺を散策した。着物に雪駄姿で練り歩いた道中、ロンドン市民から次々に写真撮影を求められるなどの熱烈歓迎も受けた。
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まだ上着が欠かせない肌寒い早朝、「寒いですね」と話しながら羽織姿の横綱・大の里が、宿泊先のホテルを出発した。192センチの大柄な体でケンジントンの街中を歩くと、ひときわ通行人の目を引いた。雪駄(せった)の音を響かせながら街中を歩き、会場近くで行われていたハーフマラソン大会も見学した。「たくさんの方が集まってくれると思うので、当日は頑張りたい」と34年ぶり2度目のロンドン公演へ向けて意気込んだ。
道中は通行人との記念撮影にも気さくに応じた。写真を求めるロンドン市民は、相撲の存在こそ知っていたという人が多かったが、大相撲の横綱であることを聞かされると、「チャンピオン? ワォーッ!」と驚いた様子だった。
約15分の道のりを終えると、会場のロイヤル・アルバート・ホールを初めて目にした。大の里は思わず「でかっ!」と声を出し、「すごく立派な建物。こんなところで相撲をやれるのは本当に光栄なこと」と目を輝かせた。つかの間の散歩を終え「今歩いてバスや教会を見て(ロンドンらしさ)を感じられた」と、リラックスした様子で話した。
ホールは1871年開場の伝統を誇る。コンサートなどさまざまなイベントの会場となっており、1991年の大相撲公演でも使われた。ホール内では呼び出しらによる土俵づくりなど準備がスタートし、同日にはつり屋根が設置される予定だという。肌寒いロンドンで、相撲熱が日に日に高まってきている。(大西 健太)
◆ロンドン公演 現地時間の15~19日の5日間、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで開催。海外公演は05年の米ラスベガス以来20年ぶり14度目で、ロンドンでは91年以来2度目。前回も同会場で開催された。横綱土俵入りや各日幕内の取組が行われ、5日間の成績で優勝を争う。幕内力士ら一行は2班に分かれて11、12日に出発し、21、22日に帰国予定。