◆学生3大駅伝開幕戦  出雲駅伝(13日、島根・出雲市出雲大社正面鳥居前スタート、出雲ドーム前ゴール=6区間45・1キロ)

 国学院大が、2時間9分12秒で2年連続3度目の優勝を果たした。3区(8・5キロ)で野中恒亨(ひろみち、3年)が5位から2位に、4区(6・2キロ)で辻原輝(ひかる、3年)が区間新記録の快走でトップに浮上し、リードを守り切った。

絶対的存在だった平林清澄(ロジスティード)が今春卒業。今大会直前まで走り込みを重ねてスピード駅伝を制した。早大が38秒差の2位に入り、創価大がさらに15秒遅れの3位だった。(天候晴れ、気温26・0度、湿度65%、東北東2・5メートル=スタート時)

 国学院大の足取りは最後まで力強かった。アンカーの上原琉翔(りゅうと)主将(4年)は序盤、早大の工藤慎作(3年)に差を詰められたが、終盤、突き放して優勝のゴールテープを切った。「今年は箱根を見据えて9月いっぱいまで走り込んで出雲に臨み、それでも勝つことができた。全日本、箱根でチームはもっと強くなると思います」と胸を張った。

 圧巻はエース区間の3区を担った野中だった。区間2位の激走で5位から3人抜きで2位に浮上。5000メートル(12分48秒20)と1万メートル(26分57秒30)の自己ベストがいずれも日本記録より速いアイビーリーグ選抜のグラハム・ブランクス(ハーバード大)、今年の箱根2区で区間新をマークした東京国際大のリチャード・エティーリ(3年)ら外国人選手に競り勝った。「楽しまなければ成長できないと思った。自分が国学院の主力だと見せたかった」と堂々と話した。

 昨季唯一、逃した箱根路制覇を今季最大の目標に掲げる。今年9月、チーム平均の月間走行距離は約1000キロに延びたという。昨年同月比で200キロ増。ある程度、出雲の戦いを犠牲にし、地力強化を図る目的だった。箱根で頂点に立つために調整を変え、それでも出雲で勝った。

 昨季まで絶対的存在だった平林が今春、卒業。「平林さんの存在は大きい。みんな、普段の練習から平林さんに勝とうと思っています」と上原は証言する。平林は今も国学院大を練習拠点として共に汗を流しており、全6区間6位以内につながった。今も目標であり、手本となっている。

 今大会に向けて、箱根駅伝覇者の青学大・原晋監督(58)は「ばけばけ大作戦」を発令。前田康弘監督(47)は「うちの野中が化けましたよ。

大エースみたいな走りをしてくれた」と満面の笑みで話し「全日本で、もう一度、日本一を取り、今度こそ箱根を本気で取りに行く」と意欲を示した。

 「昨季は本気で箱根を勝ちに行って勝てなかった。次こそ勝ちたい」と主将の上原はチーム全員の思いを代弁する。出雲路も伊勢路も通過点。箱根路を制するために、国学院大は走り続ける。(竹内 達朗)

 ◆出雲駅伝の連覇 1989年の第1回大会以降7校9度目。91~95年の山梨学院大の5連覇が最多記録。99~01年の順大、05~07年の東海大が3連覇で歴代2位。2連覇は97、98年&22、23年の駒大、03、04年&08、09年の日大、15、16年の青学大、24、25年の国学院大が達成している。

 ◆国学院大 1922年創部。98年にスポーツ強化部会制度創設で硬式野球部、柔道部と本格的な強化開始。出雲駅伝は11年に初出場。

19年の出雲で学生3大駅伝初優勝。24年に2度目の優勝。同年の全日本も優勝。練習拠点は神奈川・川崎市と横浜市。タスキの色は赤紫に黒の縁取り。主なOBは平林清澄(ロジスティード)、土方英和(旭化成)、浦野雄平(富士通)。

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