◆学生3大駅伝開幕戦  出雲駅伝(13日、島根・出雲市出雲大社正面鳥居前スタート、出雲ドーム前ゴール=6区間45・1キロ)

 昨季の大学駅伝2冠の国学院大が2時間9分12秒で2年連続3度目の優勝を果たした。2位に名門の早大、3位に駅伝巧者の創価大が続いた。

昨季の箱根駅伝王者の青学大は2~4区終了時点で関東勢最下位の11位とまさかの大苦戦で7位に終わった。

 第2戦の全日本大学駅伝(11月2日、名古屋市~三重・伊勢市=8区間106・8キロ)、最終戦の第102回箱根駅伝(来年1月2、3日、東京~箱根間往復=10区間217・1キロ)に向けて激戦が続く。

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 今季の大学駅伝界は、群雄割拠の大混戦だ。

 国学院大は昨季から3大駅伝で4戦3勝。もはや「勝ち方」を熟知している。全日本大学駅伝でも優勝候補の一番手に挙がる。主将の上原琉翔(4年)、エースの青木瑠郁(4年)、新エースの野中恒亨(3年)、出雲駅伝4区区間新の辻原輝(3年)、マラソン日本人学生歴代8位(2時間8分50秒)の高山豪起(4年)ら学生トップレベルの人材がそろう。さらに出雲駅伝2区でデビューした尾熊迅斗(2年)、実力派ルーキーの高石樹と野田顕臣ら新戦力も台頭し、選手層は分厚い。悲願の箱根駅伝制覇は、山上りの5区の戦い方が鍵を握るだろう。

 しかし、ライバル校も黙っていない。

 早大はエース山口智規(4年)、スーパールーキー鈴木琉胤(るい)、「山の名探偵」工藤慎作(3年)が花田勝彦監督(54)の期待通りに好走し、出雲駅伝2位と結果を残した。箱根駅伝では前回5区2位の工藤の存在が心強い。

同3区3位の山口竣平(2年)が復帰すれば、往路でレースの主導権を握れる戦力となる。

 創価大は出雲駅伝で全6区間を3~5位にまとめ、3位。駅伝巧者ぶりは、距離と区間が増える全日本大学駅伝、箱根駅伝でも発揮されるだろう。

 出雲駅伝5位の駒大は3区で桑田駿介(2年)の苦戦が響いたが、それ以外の区間は堅実に走り、地力を見せた。山川拓馬、伊藤蒼唯、帰山侑大の4年生は特に安定感がある。エースの佐藤圭汰(4年)はレースの流れを変える力を持つ。佐藤が戦列復帰すれば、チームは一変する。

 城西大は出雲駅伝3区でヴィクター・キムタイ(4年)が首位に立ち、見せ場をつくった。箱根駅伝では日本人エースの斎藤将也(4年)という切り札を持つ。前回の箱根駅伝は1週間前に38度の発熱があり、体調不良の状況。「体がふわふわする状況でした。体調は10~20%でした」と言いながらも5区で区間3位と激走。

万全の体調でスタートラインに立ったら、どうなるのか。「4代目・山の神」を襲名する可能性を秘めている。

 青学大は出雲駅伝7位と低迷したが、箱根駅伝では絶対的な強さを誇る。エースの黒田朝日(4年)は2区で区間新記録を狙える力を持つ。2年連続で箱根駅伝8区区間賞の塩出翔太、同じく2年連続で箱根駅伝の優勝メンバーの宇田川瞬矢、前々回の箱根駅伝1区9位の荒巻朋熈と頼りになる4年生がそろう。「学生スポーツは、やはり4年生が主役です」と原晋監督(58)は期待を込めて話す。原監督の調整能力と「〇〇大作戦」発令は、箱根駅伝の見所となる。

 中大は出雲駅伝でまさかの10位に終わったが、スピードランナーがそろい、潜在能力は高い。昨季の箱根駅伝で1~3区で首位を快走した吉居駿恭(4年)、溜池一太(4年)、本間颯(3年)が本来の力を出せば、昨季の再現が期待できる。岡田開成(2年)、佐藤大介(2年)らが成長していることも強み。失速した出雲駅伝から巻き返す力を持っている。

 結局は昨季の箱根駅伝上位7校の青学大、駒大、国学院大、早大、中大、城西大、創価大が今季も「7強」として覇を競うだろう。

 出雲駅伝8位の帝京大は選手層は厚いが、エースのパンチ力に欠ける。箱根駅伝では往路をしのぎ、復路で活路を見いだしたい。

 東洋大は新エース候補の松井海斗(2年)が大学駅伝デビューとなった出雲駅伝1区で11位と不発が響き、9位に終わった。全日本大学駅伝は出場できないため、10~11月に走り込み、継続中としては最長の21年連続の箱根駅伝シード権(10位以内)獲得を目指す。

 東京国際大は5000メートル(13分00秒17)、1万メートル(27分06秒88)、ハーフマラソン(59分32秒)の3種目で日本学生記録を持つリチャード・エティーリ(3年)の爆発力が頼り。前回の箱根駅伝に続き、2区で再度の区間新記録が期待される。

 箱根駅伝の予選会は18日に開催される。トップ通過候補の大東大、日体大などは順当に勝ち上がった場合、本戦でシード校とどこまで戦えるか、注目される。 青学大の原監督は厳しい表情で語る。

 「青学大が箱根駅伝4連覇(2014~17年度)や大学駅伝3冠(2016年度)した10年くらい前、大学駅伝のレベルは、それほど高くなかった。今は、どの大学も監督が勉強して、選手が努力している。今の大学駅伝で勝ち残ることは大変なんです」

 出雲路の戦いは序章に過ぎない。

伊勢路を経て箱根路へ。2026年1月3日、東京・大手町にゴールするまで激烈な戦いは続く。(箱根駅伝担当・竹内 達朗)

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