大相撲のロンドン公演が15日から19日までの5日間、ロイヤル・アルバート・ホールで開催される。現在、相撲は「SUMO」として海外でも大きな注目を浴びている。
元力士の経歴を生かして、田代氏は国内外での相撲ショーを数多く手がけ、俳優としてハリウッドやインド映画にも出演している。「SUMO」は現在、世界中で認知されており、注目度の高さを感じている。
「最近はブルネイに行き、王子様たちの前で相撲を取り、とても喜んでくれました。相撲は世界でも喜んでもらえるコンテンツ。『日本人は体が小さい(イメージがある)のに、なぜ相撲取りだけ欧米人よりデカいんだ。あいつらは何者なんだ』と。力士は神秘的というか、象を見ているような感覚なのだと思う。ギャップの大きさが魅力の一つなのかもしれません」
時代の変化も、相撲熱に拍車をかけている。
「昔から相撲の人気は高いのですが、SNSの普及などもあって海外の人が目にする機会が増えた。携帯があれば、地球の裏側のスポーツも視聴できる。だから、日本を代表する相撲を見てみたい、となるんだと思う」
相撲ショーのため、世界各地を飛び回る。
「オーストラリアや米国は単純明快に盛り上がって喜ぶ。だからプロレスふうにやった方がいい。入場も青コーナー、赤コーナーのような感じにして。『誰々の入場です!』などとクラブのように踊りまくって登場する。しかし、欧州は格式や伝統を大切にするので、おちゃらけると怒られる。場所によって演出を変える。ロンドン公演は歴史ある会場で開催するので、相撲は、しっかりと欧州の人に受け入れてもらえると思う」
大相撲の海外公演は、普及など角界に好影響をもたらす。
「海外の親日家が相撲を知っているのはもちろん、現地でロンドン公演の告知を大々的にすることで、新たなファン層拡大につながる。面白い国際交流ですよね。来年はパリ公演もありますが、欧州からも火がついて、市場はどんどん大きくなると思う」
現在、幕内ではウクライナ出身の安青錦、獅司らが活躍する。これまで大相撲とあまり縁のなかった国の力士が日本でも知られるようになった。
「(今後は)南米にも魅力がある。それにインドは、これからの国。まずエンターテインメントとして広めるのには面白い。相撲はスポーツとして、わかりやすさが魅力でもある。難しくなく、始めやすい。そこから(興味を持って)インド出身の力士が誕生してもおかしくはない。これからも世界中の人が『SUMO』の魅力に気づくことの手伝いができたらうれしい」
訪日観光客が増えた影響もあり、大相撲は昨年、年6場所全90日間のチケットが完売。SUMO人気はさらに世界に広まっていきそうだ。
◆田代 良徳(たしろ・よしのり)元幕下・東桜山。1976年7月13日、東京生まれ。49歳。明大中野高、明大を経て、玉ノ井部屋に入門。