巨人の元監督で選手としても共闘した高橋由伸氏(50)=スポーツ報知評論家=が引退する長野久義外野手(40)へ、ねぎらいの言葉を贈った。

 「世代交代って、こうやって行われるんだな」―。

自分で言うのも何だが、1年目の長野を見た時に、そう思った。先に高卒で坂本が入り、2年目からレギュラーを奪った。そこに長野も加わり「この2人が巨人を背負っていくのだろうな」と感じた。あれから16年。先日、本人から引退の報告を受けた時は「世代交代がまた来たなあ」という寂しい気持ちが先行した。

 過去に見てきたルーキーで、長野には特に衝撃を受けた。2010年2月のキャンプが始まり、環境に慣れてきた中盤から3月にかけて、走攻守における“モノの違い”に驚かされた。打球の強さ、インパクトの激しさ、走るスピードに肩も強かった。決して走り方が格好いいわけではないし、投げ方も独特なんだけど、結果的なタイムや精度が群を抜いていた。独特な感性でプレーするタイプだから、彼をマネすることは難しい。ただ、全てにおいて「即戦力」という言葉が当てはまった選手だった。

 正直言うと「こいつは本気でやってるのか?」と感じる時もあった。

真面目にやるところと抜きどころを掌握し、まさに天才的。ただ、試合になるとビックリするくらい打つから本当につかみどころがなかった。多分、俺らみたいな先輩に対する長野と、後輩と接する時は違う顔を持ってるのだろうな。周りがよく見える男だから何事にも敏感に反応し、環境に合わせているのだろう。だから正直、「もったいないなあ。もっとできたはずなのになあ」なんて思いもあった。

 今年の春先、確かLINEを交換したよな。まだ一度もやりとりはしてないから、改めて「お疲れさま」という意味も込めて、連絡してみようかな。(高橋 由伸)

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