理学療法士の石崎翔大さん(35)が、初の著書「100年歩き」(集英社刊、税込み1760円)で100歳まで自力で歩くことを目指す歩き方を提唱している。独自に考えた5つのポイントを列挙。

日常生活に取り入れやすく、歩くだけで健康に近づくことができる。

 石崎さんは日々、患者を診ながらいつも抱えている葛藤があったという。「せっかくクリニックで痛みが改善したのに、自宅でのエクササイズが続けられず、根本的に良くならない…」。とはいえ、わざわざ時間をさいて痛い思いをしてリハビリする患者も少ない。そこで思いついたのが「100年歩き」。毎日歩きながら、体を整えられればいいと考えた。

 気をつけるポイントは5つ。

 〈1〉骨盤を後ろに倒す

 〈2〉肩甲骨を下げて、胸骨を上げる

 〈3〉着地する際、ひざを伸ばす

 〈4〉かかとの内側から着地する

 〈5〉ゆっくり呼吸する

 全てをここで紹介してしまうと本の売り上げに影響しかねないが、「そんなことより、全国の皆さんの痛みが改善する方が私にとってはうれしいので、気にしません」と笑い飛ばす。〈1〉と〈2〉は正しい姿勢が難しいため、本の中で細かく解説。この歩き方を実践できれば、背筋の緊張を緩め、大内転筋、腹横筋など日常的に使われていない筋肉を刺激できる。

 また、同書では日常的な不調への対処方法も。肩こり、腰痛、ひざ痛、猫背、便秘、ぽっこりおなか、冷え・むくみ、不眠、頭痛に効果があるセルフケアも紹介している。

 自身は学生時代、バスケットボールに励み、足や腰など多くのけがに直面。電気療法や様々な治療を受けながら「これ、本当に良くなっているのかな」と疑問を感じてきたという。理学療法士として整形外科やクリニックで勤務し、1日約30人の患者と触れてきた。症状が分かりにくい時は、あえてと無理なトレーニングで自身の体を痛め「放っておくとどうなるんだろう」と、関節の動き方を確かめたことも。これまで8万人の患者と接触。椎間板ヘルニアで手術直前だった50代の男性会社社長は「今では普通に歩けています。神の手です」と証言する。

 「『100年歩き』が浸透していけばいいな」と願う石崎さん。「私が全国にいれば、もっと多くの方の痛みを改善できるのに」という気持ちが、この本を出版した思いに通じている。

 ◆石崎 翔大(いしざき・しょうた)1990年3月8日、千葉県出身。35歳。船橋整形外科病院入職後、関西、東京のクリニックを経て、麻布十番に「GDS Clinical Lab」(http://gdsclinicallab.com)を開業。

東京大学医学部附属病院整形外科が開発に携わった再生治療を提供する自由診療機関と連携している。

編集部おすすめ