政府は17日、2025年度の文化勲章を、スポーツ振興の王貞治(85)、歌舞伎の片岡仁左衛門(81)、ノーベル化学賞に選ばれた錯体化学の北川進(74)、デザインのコシノジュンコ(86)ら8氏に贈ることを決めた。王さんは福岡市内で、仁左衛門は都内で、それぞれ受章の喜びを語った。

文化功労者には野田秀樹氏(69)ら21人を選んだ。文化勲章の親授式は11月3日に皇居で、文化功労者の顕彰式は同4日に都内のホテルで開かれる。

 プロ野球最多の通算868本塁打を放った王ソフトバンク球団会長に新たな勲章が加わった。野球界では今年6月3日に89歳で死去した巨人軍終身名誉監督・長嶋茂雄氏が21年に受賞して以来、2人目。スポーツ界では競泳の古橋広之進氏(08年)、元日本サッカー協会会長で、日本トップリーグ連携機構会長の川淵三郎氏(88=23年)に次ぐ4人目となる。

 栄えある知らせに、今は亡き盟友に思いをはせた。「一緒にこの喜びを分かち合えたら良かったと思うんですけど。長嶋さんも喜んでくれていると思う」と、“世界の王”がしみじみと語った。

 ともに国民栄誉賞を受賞した長嶋さんとのON砲で巨人のV9に貢献。現役引退後は、巨人、ホークスの監督を務め、06年の第1回WBCの日本代表監督としても世界一に導いた。グラウンド外でもハンク・アーロン氏とともに提唱した世界少年野球大会が90年から続き、今年5月には100年先の野球振興を見据えた「一般財団法人球心会」を設立した。

 野球への情熱は今も衰えることはなく、この日もCS最終ステージ3戦目に臨むチームを試合前練習から見守った。

「自分は飽きっぽい性格。長続きしないんですよ。野球だけは、もっともっとという気持ちがこの年齢になってもある。ときめくものがある。もっと高いところへ行きたいという思いを持ってやったからたくさんホームランを打てるようになった」。これからも球界、スポーツ界の発展に尽力していく。(島尾 浩一郎)

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