◆報知新聞社後援 第102回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)予選会(18日、東京・立川市陸上自衛隊立川駐屯地スタート、国営昭和記念公園ゴール=21・0975キロ)

 昨年1秒に泣いた東農大が6位で予選を通過し、2年ぶり71回目の箱根路を決めた。予選会には42校が出場し、各校の上位10人の合計タイムで競い、10位以内の大学が箱根駅伝(来年1月2、3日)の出場権を獲得。

前回優勝の青学大はじめシード10校、予選会通過10校とオープン参加の関東学生連合の計21チームが新春の箱根路に臨む。

 注目の成績発表。「6位、東農大」のアナウンスが響くとチームからガッツポーズが飛び出し、エースの前田和摩(3年)は大きく息を吐き出した。チームトップだった前田は「走っている時にプラカードで5位っていうのが見えたりして自信はあったんですが、予選会は何があるか分からなくて…。まったく余裕がなかったのでホッとした気持ちが大きかったです。入学当初からいいチームではありましたが、やっとすごいチームとして形になってきたという感じ。みていてわくわくする強いチームになってきました。去年の教訓を胸に1年やってこられました。自分は去年1年間、チームの力になれなかった。自分は走りでチームを引っ張るというのが自分の与えられた役割だと思っているので、そういった面でやるべきことはできたかな」。直前に左膝上を痛め完調ではなかったとはいえ、チームをけんいんし、安堵(あんど)の表情をみせた。

 東農大は昨年、10位通過の順大と06年予選会の国士舘大と拓大に並ぶ歴代最少の1秒差で落選し、2年連続の出場を逃した。

エース前田の不在が大きく響いたが、ミーティングを重ねるなど個の意識を改革することで練習などの取り組みも大きく変化し、この日につなげた。菅原昇真主将(4年)は「みな1人1人、箱根を走れなかった悔しさがある。みんなが自ずと自発的に練習を上げられた。農大は前田、前田と言われますが、前田の力を借りなくても自分たちの力で通過できないと勝負はできないと思うので。でも、前田はさすがでした。ありがとうという気持ちです」と全員でつかんだ箱根切符だ。

 学校側のサポートも選手の背中を押した。今年2月に長距離ブロック専用の「青雲寮」が東京・世田谷区に完成した。これまで選手は学食などで食事をしたが、栄養士が考えた食事を3食ともに提供されることなどもあり、より競技に集中できる環境が整った。

 ただ、これで終わりではない。菅原主将は「シード校と対決していきたいなと思う。これである程度、戦えるめどはついのかなと思うので、本戦でしっかり上位を目指して。

ただの記念ではなくて、来年以降につながる勝負できるレースにしたいです」と2年分の思いを箱根路にぶつけにいく。

 

 【第102回箱根駅伝シード校】青学大、駒大、国学院大、早大、中大、城西大、創価大、東京国際大、東洋大、帝京大

 ◆東農大 1919年に独立した競技部として創部。箱根駅伝には21年の第2回大会に初出場。最高成績は2位(77年)。往路は優勝1回(74年)、復路は最高2位(77年)。出雲駅伝は最高5位(91年)。全日本大学駅伝は最高2位が5回(74~77年、85年)。タスキの色は松葉色。大根を持って踊る「青山ほとり」(大根踊り)は応援団の名物。主なOBは服部誠氏(服部牧場オーナー)。

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