◆秋季近畿地区大会▽1回戦 智弁学園8―6近大付(18日・さとやくスタジアム)

 来春センバツ(26年3月19日開幕)出場校選考の重要な参考資料となる秋季近畿大会が開幕した。智弁学園(奈良1位)が近大付(大阪2位)に5点差を逆転勝ち。

来秋ドラフト候補の最速147キロ左腕・杉本真滉(2年)が178球、15奪三振の完投で3季ぶりの甲子園に前進した。今夏の甲子園8強の東洋大姫路(兵庫3位)は近大新宮(和歌山1位)、滋賀学園(滋賀3位)は乙訓(京都2位)を破り8強入りした。

 苦しい中でエースが成長の178球を投じた。智弁学園の杉本は、3回までに6失点しながらマウンドに立ち続け、9回6安打6失点(自責1)で完投。「自分は抑えられるという勘違いというか、もう一回、自分の実力を確かめられた」と、自身の現在地を受け止めつつ、前向きな言葉を並べた。

 0―0の2回に2死満塁を招き、捕手の守備妨害など不運も重なって一挙5点を失った。さらに3回にはソロ本塁打を浴び「多く点を取られることはあまりなかったので、焦りや悔しさがあり、力みにつながっていた」と左腕。小坂将商監督(48)から、「冷静になれ」と声をかけられ我に返った。打線が3回に1点差まで迫ってくれたことも追い風となり、4回以降は尻上がりに調子を上げ、2安打しか許さず無失点。4者連続を含む毎回の計15奪三振と劣勢を跳ね返し、8回の逆転劇を呼びこんだ。

 エースの奮闘を、指揮官も「5点差はこちらも焦りますよ。でもちゃんと自分に戻ったので、成長を褒めてやりたい」と称え、「タイプは違いますけど、(高校時代の阪神)伊原より全然上です」とOB左腕を引き合いに太鼓判。

高卒プロ入りを掲げる左腕が、試練を乗り越え上昇気流に乗った。(瀬川 楓花)

 ◆杉本 真滉(すぎもと・まひろ)2008年7月8日、兵庫県生まれ。17歳。小1から枝吉パワーズで野球を始め、投手や外野手でプレー。野々池中では神戸中央シニアに所属。智弁学園では1年春からベンチ入りし、同年夏の甲子園に出場。175センチ、80キロ。左投左打

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